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アイドルという肩書きがあるだけで未熟でも許される

――アイドル戦国時代が盛り上がる中で、遠藤さん自身はグループから卒業してソロで活動していこうと考えるようになるわけですが。

遠藤 何かしら次にいかなきゃいけないという感じでしたね。自分の中で区切りをつけて、やめると告げていたので。その時はソロでやっていくことしか思い浮かばなかったんです。

――賭けでもありましたか?

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遠藤 賭けでしかなかったですよ(笑)。

――アイドルはファンという存在があるから、ある程度の安定した活動が担保されているところがありますよね。

遠藤 アイドルという肩書きがあるだけで未熟でも許されるというか、これという武器がなくても、ファンの人は成長の過程を楽しんでくれて「次にできればいいよね」と応援してくれる。ある意味、甘えることもできたんです。だけど、アイドルという肩書をとった時……いや、「アイドルじゃありません」と言った瞬間からアイドルじゃなくなるわけじゃなくて、そこは難しいところなんですけど……未熟であることが許されなくなると、ひとつの芸を突き詰めなくちゃいけない。プレッシャーの密度が違うし、守られる盾が薄くなったように感じました。

 

「あの瞬間を消したい」と思うことはない

――ソロ活動がはじまっても、ついてきてくれるアイドリング!!!時代のファンの方はいたんですよね。

遠藤 そうですね。18歳で事務所に入って、いきなりソロ歌手としてデビューしようといっても無理ですから。たとえ嫌だったことがあっても、ここまでで終わりにしようと思っても、すべての活動が重なって層になっているので、「あの瞬間を消したい」と思うことはないんですよ。すべてがいまにつながっている。順調に人生を重ねることができてよかったなと思ってます。

――ソロアーティスト遠藤舞の楽曲制作陣は、小出祐介さん、津野米咲さん、オカモトショウさん、片寄明人さんと豪華でした。

遠藤 恵まれた環境にいたから、ソロとして4年近く続けられたんだと思います。ひとりで器も中身も作ることはできないので。もちろん、その環境に応えるためにやれることはやったつもりです。

――やっぱり曲を制作する過程が楽しかったですか?

遠藤 そうですね。曲を作っている時は自分から「ああでもない」「こうでもない」と意見を出していたし、まわりからも「一番集中している時間だよね」と言われていました。いま仮歌の仕事もやっているんですけど、自分の得意分野は入ったオーダーに対して忠実に歌うことだと思っているんです。その特性に沿った仕事をしたくていまの仕事を選びました。