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2018/11/27

genre : ライフ, グルメ

「かつそば」の本家といっていい味

 そして、そばは細めでコシがあり、つるやかな麺である。屋号に「十六文」という枕がつくのだから、田舎系のそばを想像していたが、まったく違う。どちらかというと更科系の粋なそばである。この麺とつゆに「かつとじ」がまったくすっきりと調和して完成されている。

 東京駅新幹線ホームにある「グル麺」の「かつ煮そば」、「名代富士そば」の「かつとじそば」も若者に人気である。しかし、「十六文 そば七」の「かつそば」は、東京では本家といってもいい味だと思う。

極めて上品なカレー餡の「カレー南ばんそば」

 一緒に行った友人は、「カレー南ばんそば」(1050円)を注文した。こちらもスパイスの利いた極めて上品なカレー餡がかかった一品に仕上がっている。いずれもそばの量が多く食べごたえ十分であった。

 あまりにもそばが上質だったので、「もりそば」(600円)を追加してしまった。注文してすぐに登場したそばのもり姿がなかなかよい。コシの強いしっかりした麺線、冷たくきりっとしまった細麺、江戸の辛汁がそばを受け止めている。そば湯までしっかりいただいた。

「カレー南蛮そば」(1050円)もスパイシーで量が多い
「もりそば」(600円)も麺のコシがすばらしい

片隅に残っていた味の記憶がよみがえる

「十六文 そば七小伝馬町店」は新潟出身の大大将の田村功さんが創業して40年以上経過しているそうだ。そばは小分けして1日に何度も手打ちしているそうで、みずみずしい味を維持している。

 そして、このそばの味は、以前どこかで食べたことがある。すると、若女将から、以前、岩本町に大大将のお兄さんが「十六文 そば七岩本町店」を経営していたことを教えてもらった。バブル崩壊後の頃に、そちらに「もりそば」を食べに行っていたことをはっと思い出した。片隅に残っていたそばの味の記憶がよみがえってきたのだ。

たっぷりアツアツのそば湯もうまい

「十六文 そば七小伝馬町店」では、若大将も店を切り盛りしていて、女性陣も厨房も活気がある。2階もあり、夜は新潟のお酒も揃う秀逸な居酒屋兼そば屋としても人気である。これからも長く伝えられるであろうこの味を、また食べに来たいと思う次第だ。

写真=坂崎仁紀

INFORMATION

十六文 そば七小伝馬町店

東京都中央区日本橋小伝馬町17-6

営業時間 月~金 11:00〜15:30 17:00~21:00 
土 11:30~14:00

定休日 日祝