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【深夜バス】渋谷駅で終電逃した! でもバスならここまで帰れます

2018/11/30

genre : ライフ, 社会, 経済

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24時45分以降に18便、最も遅いものは25時30分発

 さて、これらの最終電車が出た後の帰宅手段が今回紹介する「深夜バス」だ。

 深夜バスは平日に運行され(一部土曜日も運行)、大きく2つのタイプに分かれる。1つは概ね23時以降に運行される路線バスの深夜バス。深夜帯の運行のため、通常運賃の倍額になっているのが大きな特徴だ。そしてもう1つは深夜帯のみに鉄道路線に沿って運行される「深夜急行バス」だ。こちらは普通の路線バスとは違う運賃システムになっており、値段は通常の路線バスより高く、1000円から2000円台となっている。そして少しグレードが高い車両が用いられることも多く、背もたれが普通の路線バスよりも高い座席や、背もたれがリクライニングするタイプの座席がついている車両が使われる場合もある。

深夜の渋谷駅西口、東急バス乗り場 ©鳴海行人

 そんな深夜バス、渋谷駅から24時45分以降に10系統・18便も運行されている。うち14便は25時以降の発車で、最も遅いものは25時30分に発車する。この本数の多さは都内有数。また、そのうち8系統を東急バスが運行しており、東急グループの存在感が大きいのも特徴だ。

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 そしてこれらの深夜バス、すべて渋谷駅の西側から発車する。東急バスは駅西側の駅前広場から発車し、京王バスの深夜急行バスはJR渋谷駅と京王井の頭線を結ぶ連絡橋の下、マークシティの入口付近に乗り場がある。

 

深夜なのに「440円」で帰れる行き先

 まず、紹介するのは渋谷駅を出る深夜バスのうち3系統。普通の路線バスの「深夜バス」だ。淡島通りを西進し、環状7号線近くの若林折返場までいく「渋51」系統、三軒茶屋まで国道246号を走り、そこから世田谷通りに入って東急世田谷線の上町駅付近までいく「渋21」系統、これと同じく国道246号を三宿まで走り、そこから南側の野沢エリアまでカバーする「渋32」系統だ。

 この3路線とも渋谷駅を発着する東急バスの中では本数が多く、終点から営業所が近いために遅くまでバスの運行を行う。それでも25時頃にターミナル駅を出るバスは相当遅い時間の運行といえよう。

 さらに、普通の路線バスのため、深夜バス運賃ではあるものの、440円(現金の場合)で乗車できるのはこのバス路線沿線に住む人には嬉しい話だろう。

深夜に有り難さが増す、東急バス ©鳴海行人

東急の意気込みを感じる「田園都市線沿線」

 この3系統以外の渋谷駅発深夜バスは「深夜急行バス」で7系統。うち5系統は東急バスの深夜急行バスで「ミッドナイト・アロー」という愛称がついている。5系統のうち3系統は田園都市線方面、1系統は東横線方面、1系統は横浜市の港北ニュータウン方面に運行されている。

 まず田園都市線方面の「ミッドナイト・アロー」を紹介しよう。さすが日本屈指の混雑路線の田園都市線は深夜の輸送も手厚い。溝の口駅行き、宮前平駅行き、青葉台駅行きの3系統が分担して青葉台までのほぼ各駅をカバーする。

 溝の口行きは普通の路線バスの車両が用いられることが多く、国道246号線に沿って二子玉川まで約25分、溝の口駅まで約40分で走る。その先は宮前平駅行きが受け持ち、梶が谷駅・宮崎台・宮前平を約30~45分で結ぶ。

東急バスの深夜急行バスに用いられる車両の一例 ©鳴海行人

 鷺沼から先は東急の深夜バスで最も運行本数の多い青葉台行きの担当だ。木曜日・金曜日になると25時、25時20分、25時30分と1日最大3本も走り、高速道路を経由して鷺沼・たまプラーザへは約20分、あざみ野へは約30分、青葉台へは約50分で結ぶ。たまプラーザを中心とした多摩田園都市を幅広くカバーし、利用者も多く、忘年会シーズンにはバスが1便につき2台割り当てられることも多い。

 そして、このミッドナイト・アロー以外にも多摩田園都市をカバーするバスがある。実は鷺沼行きの最終電車を受けて鷺沼駅を発車する深夜バスがあるのだ。それは美しが丘や虹が丘といったたまプラーザの住宅街方面行きや、田園都市線に沿って走る青葉台駅行き、鷺沼駅東側の住宅地を抜ける野川行き、港北ニュータウン方面へ抜けるセンター北駅行きの4系統だ。平日は渋谷駅発と鷺沼駅発の2段構えで田園都市線の沿線住民をできるだけ安く家に届けようとする東急バス。その手厚さは恐るべしといえる。