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2020年、大統領選挙に向けた戦い

 中間選挙の予想をしているさ中、そこからさらに2年後の2020年の大統領選挙について考え始めるのはいささか気が早い気もしますが、2019年後半には、米政界は明確に大統領選挙モードに入っていきます。

 現在、共和党支持者のトランプ氏支持率は85%と底堅い。ムラー特別検察官の捜査が大統領にとって致命的なものにならない限り、共和党予備選におけるトランプ氏の優位は揺らがないでしょう。保守本流を代表する候補や、あるいは2024年を見越して名前を売りたい若い候補が出てくることはあるかもしれませんが、大勢に影響はないでしょう。

 まったく読めないのが民主党側です。民主党内は、2016年大統領選挙でヒラリー・クリントン元国務長官を推した主流派と、サンダース上院議員を推した左派の対立が解消していません。どちらかというと、トランプ政権の右傾化と合わせ鏡となって左傾化が進んでいるというのが実態でしょう。左派からは、サンダース氏に加えて、ウォーレン上院議員や、ブッカー上院議員などが有力候補として挙げられています。気になるのは、民主党左派の主張のほとんどが米国内の分配政策と多様性推進に関する政策であること。ある意味、トランプ政権に輪をかけてアメリカ・ファーストであり、孤立主義的な発想に基づいているということです。そして、彼らは確実に民主党の中心軸を左に押しやっています。

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クリントン元国務長官 ©ロイター=共同

 それに対し、民主党主流派の方はリーダーを欠き、元気がありません。2004年の民主党大統領候補だったケリー元国務長官や、オバマ政権のナンバー2であったバイデン前副大統領は既に高齢で、強力な候補とはなりえないでしょう。2016年にクリントン陣営の副大統領候補を務めたケイン上院議員も、申し訳ないけれど迫力不足です。ワシントンに有力な候補が見当たらない場合、アウトサイダーである州知事や大都市の市長などが有力候補となるのではないでしょうか。

今後の世界を左右する3つの分野

 外交政策の方はどうか。上記のように、内政での停滞が予想される以上、トランプ大統領はより一層外交に力を入れ、再選に向けた得点稼ぎに走るだろうと思われます。中でも、3つのテーマが世界と日本にとって重要となると思います。第1は、米中の経済関係の行方、第2は北朝鮮情勢、第3はイラン情勢です。

トランプ大統領 ©文藝春秋