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キズナアイのプロデューサーが考える「サブスク時代に音楽はどう存在すべきか?」

Yunomiの考えるこれからの音楽レーベルのありかた

note

レーベルはハッシュタグみたいなもの

――Yunomiさんは自らのレーベル「未来茶レコード」の運営もされています。今、音楽業界が大きく変化していますが、この時代のレーベルってどんなあり方を目指せばいいか、お考えはありますか?

Yunomi もはやレコード会社としてのレーベルという考え方はしにくいんじゃないかなって思っています。アーティストが「レーベルに所属する」っていう概念が、なんかピンとこない。今は個人でやるか、それとも組織でやるか、そういう時代になっていると思うんですよね。その意味で、レーベルというものはハッシュタグみたいなものになってきている気がします。

 

――ハッシュタグみたいなもの。

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Yunomi 特にサウンドクリエイターの世界はある種のタグをつけることで、こういうサウンドはこういうジャンルなんですよって「名付け」をするようになっている。たとえばKawaii Future Bass(カワイイ・フューチャー・ベース)っていう、キラキラしたエレクトロニックサウンドのジャンルがあるんです。このジャンルを最初に作ったUjico*くんが、このジャンルのトップにいて、Kawaii Future Bassの曲を作る他のクリエイターはそこに、まああえて言えば「所属」しているっていう。別に会社でも組織でもないけど、クリエイターは個人個人でレーベル的な「ジャンル」を基盤として活動しているという感じですかね。

 

キズナアイに「過去」を歌ってもらいたかった

――Yunomiさんはバーチャル・ユーチューバーのキズナアイさんにも楽曲を提供し、プロデュースもされていますよね。

Yunomi キズナアイも一つのレーベル的存在ですね。キズナアイにはキズナアイ的な楽曲、キズナアイのカラーやルールに沿った音楽が求められる。その意味では、僕もキズナアイというレーベルに参加するアーティストの一人なんだと思っています。

 

――提供された2曲のうちの1曲「new world」は歌詞もYunomiさんが書かれたということですが、過去を思い出すことを歌っていますね。キズナアイに過去を歌わせるという狙いは何だったんですか?

Yunomi キズナアイは未来の象徴だからこそ、過去を歌ってもらいたかったんですよね。過去を振り返らないと未来は描けない。でも彼女は人間という存在が辿ってきた長い歴史、過去をきっと知らない。でもそんな未来の先導者にこそ、人間を未来へ引っ張っていくためにも、過去というものを知ってほしかった。そんな願いを込めています。