選手談話の共通点が阪神好調の理由?
これらの共通点にお気づきだろうか? そう、いずれのコメントにも他選手のプレーを労ったり、感謝する言葉が入っているのだ。紹介したコメント以外にも、というより選手談話のほとんどにチームメイトの名前が登場している。誰かのために、誰かのおかげで。これこそが、今シーズン阪神が好調の理由ではないだろうか。
“他喜力”は矢野監督から何度も聞いた言葉だ。“他人を喜ばせる力”のことだが、この言葉を私にこう説明してくれた。「誰かを喜ばせたいという気持ち、その人が喜んでいる顔を想像するとワクワクするやろ? ワクワクするから成功する!」。会話は3年以上も前のことで、当時から「ファンを喜ばせる」と指揮官は明言している。
7月7日は敗戦試合だったが、まさに他喜力が働いていることを実感する試合だった。8回裏に勝ち越されるという苦い負け方だったにも関わらず、七夕の夜に思い返すのは神宮球場に詰めかけた阪神ファンの喜んでいる表情ばかりだったからだ。佐藤輝明の20号本塁打に大喜び。サンズのファインプレーには立ち上がって喜ぶ人もいた。負けたら意味がないと言われてしまえばそれまでかもしれないが、それでも1つになってプレーする選手の姿が以前にも増してファンをワクワクさせ喜ばせていることを肌で感じた。仲間の為に、ファンを喜ばすために。今日から例年以上に重要な意味を持つ伝統の一戦を迎える。秋にはきっとTORACOに最高の彦星と会わせてくれるはず。
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