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 開幕投手が発表されたのは12球団ラストの開幕2日前。なんとBIGBOSSはドラフト8位ルーキーの北山亘基投手を抜擢した。確かにオープン戦では防御率.000でアピールしていたけれど、後ろでいくと思っていた。予想が外れて苦笑い、ここまで来るともうBOSSとの知恵比べだ。きっとシーズン中、リリーフやストッパーも固定されないのではないか。打順はガラポンやファン投票があってもおかしくないし、守備もどこでも行ける選手をBOSSは求めている。

 そして、BOSSは言う、今年は1シーズンかけて、いろいろ試してみて、来年はきっちり固定したメンバーで戦う。そして常勝チームを作っていくと。今シーズンを「1軍トライアウト」と表現した。

上にも下にも悩む世代。そこに現れたBIGBOSS

 BIGBOSSのことで私に声をかけてくれる人の中にはこんなタイプもいる。やや心配気な表情で話すその人たちは、ほぼ40代以上、男性が多い。この世代は、野球に、テレビ・ラジオの中継でも漫画でも少年野球でも触れてきた人たち。プロ野球選手に憧れ、時には到底あり得ない設定の野球漫画にのめり込み、自らもユニフォームを着てどろんこになった。言ってみれば、子供の頃から、野球のリアルとフィクションをきちんと分けていた人たちだ。

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 その人たちが言う。

「ファイターズ大丈夫?」「こんなことほんとにしちゃっていいのかな」「ありえないでしょ」「まんがじゃないんだから」「怒られるって」

 この世代はちょうどいま組織で揉まれている人も多い。変えたいことがあっても慣習に囚われて動けない、何とか勇気を出して動いても押さえつけられる、だったら何もしないことがベストなのか、本当にそれでいいのか、やりがいって何か。上にも下にも悩む世代。そこに現れたBIGBOSS。人を動かし、巻き込み、溢れるアイデアをどんどん実行に移し、常識を叩き壊していく。見ていると何だか心配でならない、だけどこれが同世代が切り開く世界かと思うと奮い立つ自分もいる。リアルとフィクションって何だっけ……実は、今のファイターズに付いていくのに一番必死なのがこの世代のファンなのかもしれない。

 今年はファイターズファンにとっては札幌ドーム・ラストイヤーでもある。この大事な年に何が起こるのか、丁寧に応援していこう。ひとつも取りこぼせないシーズンがやってきた。

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