「ツーボール、スリーボールからの拍手」はどのように聞こえているのか
そのうえで、コーチになった「建さん」は、シビアな方向性も打ち出している。就任時には、タイガースでの指導者経験も参考に、「ストライク率65%」「WHIP(1イニングあたりに許した走者数)1.25」を目安として提示した。
優しさもありながら、経験も深めた高橋コーチに、今、「ツーボール、スリーボールからの拍手」はどのように聞こえているだろうか?
「確かに、ありがたい拍手は聞こえます。でも、何でも拍手という雰囲気でもないですよ。本当にここ一番の大事なところでのマツダスタジアムの拍手は大きくて力強いです。ファーボールが続く中でのボール先行とは、拍手が違います。ファンの方も、本当に野球をよく知っておられると感じます」
昨シーズン、カープの四球数は、483。リーグ最多であった。
今シーズン、100試合消化時点での四球数は、281。このペースだとシーズンで401四球、前年より17%少ない計算になる。
もちろん、これらは勝利への一要素に過ぎない。試合に勝たなければ、意味を持ってこないのは百も承知である。しかし、勝利の確率を上げることには確実につながっていく。
球宴あけの大型連敗に、床田寛樹の離脱。ファンの心中は穏やかでないかもしれない。ただし、ここ一番の拍手を忘れたくはない。かつて「建さん」が放送席から待望した光景が、今度は投手陣を後押しするはずである。
◆ ◆ ◆
※「文春野球コラム ペナントレース2022」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/56293 でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。