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1997年よりも2001年よりも…ベイスターズを“一つ”にした三浦大輔監督の思い

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/03
note

三浦監督の思いが実り始めているのだと実感

 首位とはまだ大きなゲーム差がありますが、夏の快進撃によりファンの夢が膨らむ位置で戦うベイスターズ。今年は過去に対しても胸を張って欲しいほど、雰囲気の良さが確実にプラスに作用しています。元々はシーズンが始まる前、多くの評論家の方々が上位予想をした選手層。怪我やコロナ禍で常に思い描いたメンバーから誰かを欠く状況でも、8月21日にかけてはホームゲーム17連勝を達成。本来のチーム力が横浜スタジアムを包むポジティブな空気の中で引き出され、そう簡単には負けない雰囲気が生まれました。

 9月に組まれた27試合、無事に戦いを全うするためにはコンディションを整えることが重要な鍵。加えて佐野恵太キャプテン、牧秀悟選手、桑原将志選手を始め皆が最後まで充実した表情で戦って欲しいと願っています。

 去年就任1年目だった三浦監督が掲げたスローガンが『横浜一心』でした。以来皆が一つにならないとチームは勝てないと言い続けます。当初は漠然としたイメージでしたが、今、試合毎に誰かの活躍が全員の笑顔に繋がっている雰囲気を目にすると、三浦監督の思いが実り始めているのだと実感します。

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 勝利の瞬間に全員が喜びの輪の中にいるチームを作るのは、厳しい競争があるプロ野球界、簡単ではありません。三浦監督は現役時代から今に至る経験を踏まえ「どんなチーム状態や環境の時に勝てるのか」ベイスターズの中で感じ取っていました。

 起用法一つをとっても蚊帳の外になってしまう選手を出さない一貫した配慮が伝わります。

 一体感については三浦監督自身「今の雰囲気は少しずつ積み上げたもの。言葉を発してもすぐに達成できることではない。もちろん、まだ完成途上です」と話しています。

 以前、斎藤隆チーフ投手コーチから聞いた「時間がかかっても、派手さはなくても、必ずやり遂げる。現役時代から三浦大輔はそういう男でした」という言葉が、今一層響きます。

©tvk

 その三浦監督が、8月28日までのスワローズ3連戦のあと「正直、この3連敗は痛い。でも、これでゲームセットではない。また次の戦いを一つ一つ全員で勝ってチャンスをうかがえる所まで辿り着く」と唇を噛みしめました。

 諦めることが一番似合わないチームの指揮官は、またファイティングポーズを取り勝利を積み重ねています。もはや戦績を過去と比べる必要もないのでしょう。夢を手繰り寄せる可能性はまだ残っています。

 今のエネルギーを心から応援し伝えたい、チームはそう思わせてくれる雰囲気を増してきました。

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