あと5試合、吉田正尚と共に戦う幸せな優勝争いを満喫したい
そして2022年。再び最終盤の優勝戦線で戦うオリックス打線は昨年に続き盤石とはとても言えない状態だ。モヤ、ジョーンズは去り、新助っ人野手は全滅。さらには安達が故障離脱。ラオウ、T-岡田は極度の不振。
だが、今年は逆に吉田正尚がいる。いるどころではない。ここにきていつも以上の恐るべき勝負強さを発揮し、昨年自分の穴を埋めてくれたメンバーたちへの恩返しとばかりに劇的一打を打ち続けている。
話を戻そう。19日のソフトバンク第3戦最終回二死一、二塁。吉田正尚は守護神モイネロの初球を叩き起死回生の同点タイムリー。10回裏、宗佑磨の涙のサヨナラ打への道を切り拓いた。さらに翌20日。細雨に包まれた千葉幕張でのロッテ戦。2点リードで終盤を迎えるも7回裏、小木田がロッテ井上晴哉に痛恨の同点ツーランを被弾。球場の雰囲気が一気に悪化した直後の8回表。先頭打者として打席に入った吉田正尚はロッテの剛腕セットアッパー・西野勇士から超特大の勝ち越し本塁打を右中間スタンドに叩き込み一瞬で再び球場の雰囲気をひっくり返してみせた。ZOZOマリンスタジアムに居合わせた僕は威風堂々ダイヤモンドを回る吉田正尚の勇姿を見つめながらしみじみ思った。
「今年、ついに僕たちオリックスファンは吉田正尚と共に優勝争いを体験できているんだ」
この5年間、暗黒期も今も圧倒的存在感でオリックス打線を牽引する吉田正尚。投手陣の大黒柱が山本由伸なら野手陣の大黒柱は吉田正尚以外にはあり得ない。そんな絶対的主砲が今年は僕たちと共に連覇の夢を追ってくれている。こんなにうれしいことはない。
今年のペナントレースも残るはわずかに5試合。ソフトバンクとの一騎打ちの結末は誰にもわからない。でも「吉田正尚と共に戦う幸せな優勝争い」を今は全力で満喫したい。そうさ、今日もあの美しすぎるフルスイングが僕らを待っているのだから。
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