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 こうして幼少期に自己肯定力が確立されるどころか、私はどうがんばっても父に認められない存在なのだと、今思えば成長とともにますますその力を失っていき、それは10代で両親が離婚し、父と離れて暮らすようになってからも回復することはありませんでした。

 その後、心のどこかに父を見返したい気持ちを抱えたまま芸能界に入り、しかしなかなか思うように芽が出なかった20代、私はこう感じていました。ああ、誰も私のことを認めないのか、やはり父の評価は正しかったのだと……。

©光文社

 仕事が少しずつ増えたのは30歳目前のころ。20代の苦い経験があるぶん、30代・40代はひたすら仕事に邁進し、がむしゃらに働きました。世間に認められるためにはもっともっとがんばらなければ、完璧でなければ、キャリアを積まなければ――自分に自信が持てずに努力するうち、他人にも厳しくなり、必要以上に攻撃的になってしまうこともありました。

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 自分を痛めつけることで、がんばった気になっていたのですね。ひとさまの評価に自分をゆだね、それをつねに意識していることは非常に苦しく、当然、自己肯定力が回復することはありませんでした。

自己肯定力を高めてくれた娘の存在

 そんな私がなぜ、自己肯定力を高めることができたのか。それは、とにもかくにも娘の存在が大きかったと思います。

 娘自身は自己肯定力のかたまりのような人間というか、自分の長所も短所も率直に受け入れるフェアな性格で、私も自然と引き上げられた側面があります。

 そして、娘は私のことを批判はしても――実際にダメな部分をよく指摘されるのですが(笑)――一度も否定したことはありません。彼女が大人になって自分の気持ちをきちんと言語化できるようになったとき、その言葉の端々に「ママはママでいいんだよ」という思い、そして、私を信用してくれている思いが伝わってきて、はじめて「そうか、私は私のままでいいのだな」と思うことができたのです。