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マリーンズファンの応援で一番素晴らしいと感じること

 コロナ禍でのスタジアムMCには、多くのプレッシャーがあったように感じていました。球場で声を出せる存在は、ほとんど彼らしかいなかったからです。応援団によるトランペットなどの鳴り物もなく、試合前にDJ(音楽)だけで空気を作っていくのも至難の業。ただ、その難しかった3年間を乗り越えた下地があるからこそ、声出し応援が戻ってきた今シーズンの千葉ロッテマリーンズ応援団の縁の下の力持ちになれていると思います。

 今シーズンのZOZOマリンスタジアムは居心地がいい。もとより谷保恵美さんという安定感と認知度もある名ウグイス嬢がいる上に、3年間で力をつけたスタジアムMC・DJの空気感。そこに、これまで我慢に我慢を重ねた日本一の応援が飛び跳ねるのだから、その爆発力は凄まじいものがあります。

MC YUI ©南隼人

 今シーズンは投手陣が非常に好調ですが、先発陣もリリーバーたちも、応援が大きな力になっているのではないでしょうか。先日のコラムで紹介したように、佐々木朗希投手の耳にも、はっきりその声援が届いています。さらに攻撃時、「あ、この回に点取りそうだな」と感じる際には、大抵ライトスタンドから普段の倍以上の声が飛んでくる。

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 マリーンズファンの応援で一番素晴らしいと感じるのは、タイミングを逃さないこと。応援団のリードによって、追い上げの空気をつくる応援、畳み掛ける応援、調子にさらに乗せる応援など、いろいろなパターンを繰り出します。特に5月24日のライオンズ戦では、序盤に大きく点数をリードしたこともあり、試合後半では普段あまり演奏しないチャンステーマなども入れて演出しました。

 ただ、やはり4年ぶりの応援がスムーズにいけたのも、一時はコロナ禍で球場から足が遠のいていた方の居心地がいいのも、スタジアムMCの良質な声から発せられる的確なアナウンスと、スッと耳に入ってくるスタジアムDJの音楽があってこそだと感じています。まさにそのバランスが、ホームでの勝率の高さに関わっています。

「選手の頑張りが一番でしょ!」とおっしゃる方もいるとは思いますが、プロ野球の球団は多くのスタッフによって支えられ、チーム運営がされています。チームの勝利を信じないMCの声には誰も反応しません。それはDJも同じです。だからこそ昨今の球場はボールパークとなって、エンターテイメントを発展させているのです。

 是非、各球場へ行った際には、「どんな音楽が流れているんだろう?」「スタジアムMCさんは何を話しているんだろう?」と注目してみてください! 私も一役を担ったスタジアムMC・DJという文化。それをさらに輝かせるためにも、私は伝えます! スタジアムMC・DJという仕事に注目してくれると嬉しいです!!

(左から)筆者、MC YUI、DJ PAY MASTER J ©南隼人

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