「甘い顔をすると舐められる」
一人前の極道となった男は、組の縄張りを守るためノミ屋や派遣会社で資金を稼ぎつつ、拳銃を手に入れた。縄張りを荒らす外国人売人をピストルで襲撃し追い払うなど、裏社会のシノギと争いのリアルな実態とは?
NPO法人代表として「生き直し」の道を歩む佐藤智明氏の新刊『先生は、元極道』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目)
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総長と姐さん
しかし今振り返ると、親父さんのそうした何気ない言葉のひとつひとつに、僕への思いやりや気遣いが込められていたように感じられるのです。
姐さんも僕をずっと気にかけてくれました。僕が幼いころには、ウサギの赤ちゃんを譲ってくれたこともありました。
本家で暮らすようになってからは、夕食の支度を姐さんと一緒にすることがよくありました。買い出しに行くときも、姐さんのベンツに乗せてもらい、一緒に出かけることが少なくありませんでした。
当時、姐さんは夜のお店を経営していたので、帰宅が遅くなる日もありました。そんなときは薬局で二日酔いに効く薬を買っておきました。そして本家のガレージのシャッターが開くと、すぐに駆け寄り、「お帰りなさい」と声をかけて薬を渡していました。
姐さんは笑いながら薬を飲み、その後は1時間ほど花札をするのが恒例でした。姐さんは花札が大好きで、僕たち若い衆も交えて笑いながら遊びました。そんな時間が終わると、姐さんは2階へ上がっていくのです。


