【前回までのあらすじ】天童の父親は、美月のために尽力し、追い詰められて命を落としてしまった弁護士・柴原恭士だった――は、瀬尾の執念の行為の裏側にあった事実を知る。そして、天童の弁護士に対する憧憬を、本当の意味で理解する。芸人として大成する天童を誇らしく思っていた奏と、天童もまた弁護士として活躍する奏を心から励みに思っていたということも。

 

 二日後に下る判決の影響は、誹謗中傷が渦巻くSNSの世界にとって焼け石に水かもしれない。しかし、ほんの少しずつでもネットユーザーの意識を変えていくしか道はなく、たとえ小さく乱暴な一歩であったとしても、瀬尾政夫は自らを賭して踏み出したのだった。

「まぁ“新”にしてはようやったんちゃうか」

 手紙が入った封筒を見たまま物思いに耽っていた奏は、青山に話し掛けられて我に返った。

「ひょっとして今、褒めてくれました?」

「よう分からんけど、ジャンル分けしたらそうなるかな」

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2024年6月20日号