中国といえば海賊版。日本でそんな想像をする人が多いのはわかります。しかし現在、中国でゲームをリリースすると、めちゃめちゃ儲かる状態になっています。もちろんライセンスを取得した「正規版」のゲームです。
例えば、日本人に比較的なじみのある「ビリビリ動画」。ニコニコ動画にインスパイアされてスタートしたサービスなのに、気づけば本家よりも発展して、2018年3月にはアメリカのNASDAQ上場を果たしました。とはいえ、同社にとって「金の生る木」は動画サービスにあらず。日本でも人気のゲーム「アズールレーン」や「FGO(Fate/Grand Order)」の運営だったりします。
課金ゲームは中国人の実生活と似ている?
中国のネット企業の規模は日本のそれどころではなく、世界を代表する米国のGAFAに迫る勢いですが、その多くはゲーム部門で収益を得ています。例えばLINEのようなメッセンジャーアプリ「WeChat(微信)」で知られるテンセント(騰訊)も、定番ポータルサイトで知られたネットイース(網易)も、ゲームが大きな収益の柱になっています。
金をつぎ込めばつぎ込むほどプレーヤーが強くなるゲームというのは、中国人の実生活とも似ていて、のめりこむ人が多いようです。日本よりずっと格差社会の中国では、札束と知識は「リアル人生ゲーム」でプレーヤーを強力に育てることができるのです。金を出せば出すほどよい教育が受けられ、札束でビンタをするかのように人を動かすことができるといいます。
「サクラ大戦」の続編開発が発表され……
ちなみに、僕が中国に居を構えた2002年には、主人公が異様に強くなるようデータを改ざんした海賊版ファミコンゲームがまだ現役でした。まるで中国の金持ち二世のように生まれながらにして最強のキャラクターを操って、ラスボスの魔王目指して敵を蹂躙する中国人プレーヤーを多く見たものです。オンラインゲームもそうしたプレイ習慣に影響を与えています。プレイは無料だけどさっさと強くなるには金がいる、そんなゲームに一部の中国人が大量に課金をしてゲーム業界は潤っています。
ところが、今年8月にオンラインゲームの審査が厳格化され、10月には審査が全面的に停止されると発表されました。にもかかわらず、いつ審査再開となるか怪しい間にも「サクラ大戦」というセガの人気ゲームの続編の開発が発表され、海を越えて一部の日本人にも驚きとワクワクを与えました。