文春オンライン

中国で日本のゲーム「サクラ大戦」「聖闘士星矢」が大流行している理由

中国の海賊版ゲームマニアが「恩返し」

2018/12/17
note

こんなかたちで「恩返し」されるなんて

「サクラ大戦」は「セガサターン」からはじまったゲームタイトルですが、パソコンが普及しはじめた2000年代にパソコン向けの「サクラ大戦」の海賊版で遊んでいる中国人ゲーマーを目撃しました。そうした人々が新しい「サクラ大戦」を楽しみにしているのでしょう。

 それにしても、かつての海賊版天国・中国のゲーム企業「天津紫龍奇点互動娯楽有限公司(中国での開発配信を担当)」が、「ラングリッサー」の商標権を保有する日本の「エクストリーム」とライセンス契約を結ぶなんて……。にわかには信じられません。

ラングリッサーをプレーする筆者 ©山谷剛史

 ちなみに、売上に応じた一定のロイヤリティを支払うという契約で、現地では100億円単位で売上を計上したそうですから、相当額が日本側にも支払われたはずです。こんなかたちで「恩返し」されるなんて思いもよりませんでした。「鶴の恩返し」や「浦島太郎」ではないですが、現代にも恩返しはあるものです。

ADVERTISEMENT

 ただ、こうした恩返しサービスは、ずっと続くわけではありません。中国のゲーマーが海賊版を買って遊んだゲーム機はPSPまで。当時人気だったPSP向けのゲームに「モンスターハンター」が挙げられますが、すでに中国向けバージョンは開発されています。海賊版を遊んだ世代による恩返しは続きますが、せいぜい5年程度でしょうか。

日本の著名な声優がネイティブの日本語で語る

 読者の皆さんがかつて遊んだ懐かしいタイトルが遊ばれています。これをきっかけに今伸びている中国のゲームを体感するのはありだと思います。日陰なゲーム機でばかり遊んでいて周囲からゲームマニアとかオタクとか評された方には、ぜひトライしていただきたい。慣れない人にはハードルが高いかもしれませんが、iPhoneやAndroidのスマートフォンで中国のゲームアプリをダウンロードすることは可能です。

 とはいえ、遊んでみればあら不思議。表示される文字こそ中国語ですが、日本の著名な声優がネイティブの日本語で語るので、ゲームで何が起きているのか、ストーリーの理解も容易です。中国人ゲーマーは、日本語がわからないのに、それを聞いて喜んでいるのです。

 例えば、中国語版「ラングリッサー」では主人公格のキャラクターに声優の柿原徹也さん、立花慎之介さん、内田真礼さんらを起用しました。日中どちらでも有名な声優です。

ゲームイベントのエスカレーターには日本の有名声優の名前がずらり ©山谷剛史

 懐かしさと同時に、「なかなかやるな」とばかりに、いつの間にかどっぷりハマるかもしれません。かつての中国ゲームよりもずっと面白くなっています。単に人口が多いからゲーム市場が大きいというだけでなく、様々なゲーム開発者が切磋琢磨して面白いゲームを作ろうとしている熱気を感じ取ることができますよ。

中国で日本のゲーム「サクラ大戦」「聖闘士星矢」が大流行している理由

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー