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「ブロックチェーン」はインターネット業界での「脱システム」

角幡 宮坂さんがおっしゃっていた「ブロックチェーン」は、インターネットとは全く違うんですか。

宮坂 インターネットの中の一つだとは思うんですけど、簡単に言うと「価値」や「お金」みたいなものを自分なりに作ることができる技術なんですよ。今、最もこの技術が応用されているのが、ビットコインなどの仮想通貨です。懐疑的な人たちもいますが、でもどうなるか分からない。私はすごく面白いなと思っていて、ポジティブに考えています。

 

角幡 つまり、不確定で未知な感じがあって、ワクワクするということですね。

宮坂 そうそう。だから「インターネット業界」という狭い世界での「脱システム」をやっているという感じです。小さな業界なんですけど、そういったスケールの中でも、色々な「脱システム」が日頃から起きている。だから、様々なビジネスシーンでも起こすことができると思うんですよ。

「未知の状況」を経験したいから「極夜」へ旅した

角幡 結局、冒険や登山の世界に置き換えても、不確定な状況にいくのがワクワクするというか、楽しいんです。同じですね。

 グリーンランド北部の「極夜」を旅する前もよく聞かれたんですよ。「角幡さんも、昔は『空白の五マイル』で、誰も行けなかった場所に行くっていう分かりやすいことをやっていたのに、なんで『極夜』みたいな海のものとも山のものとも分からない上に、面白いことを書けるかも分からないところへ行こうとするんですか」と。でも、僕としてはその「未知の状況」を経験したいから行くわけです。

 

宮坂 そのプロセス自体を楽しみ尽くしているんでしょうね。事前にあまりにも見えすぎてしまうと、なんかしらけちゃうのかもしれない。「ゴールには行ける」と分かってしまったり。

角幡 そうですね。今、僕がニューギニアで行ってみたいと思っている、トリコラ山も「山の南にすごい岩壁があるらしい」というものすごい不確かな情報だけがあるんですよ。だけど行ってみないと、あるかどうかも分からない。現地に行って、もし本当にあったならばすごく嬉しいだろうし、答えが見えてしまうと……。

システムの便利さと「見えすぎる」不安

宮坂 当然、昔は見えないことのほうが多かったと思うんです。現代はシステムの便利さがある一方で、あまりに見えすぎてしまって不安になりますよね。

 私は、98年から2008年頃までヤフーニュースを担当していました。その当時はまだインターネットのニュースサイトって、どう作ればいいかすらあまり決まっていなかった。ロールモデルがなかったんです。アメリカのヤフーとかを見よう見まねでやっていたんですけど、どうしても日本と合わないんですよ。日本のメディア業界は「この人に相談しておいたほうがいい」とか、力学も複雑じゃないですか。試行錯誤があったんですよ、正直。

 

角幡 創造性というか、道なき道を行く喜びや楽しさを感じるんですかね。

宮坂 そうですね。割とややこしい状況や交渉ごとで揉めているというような状況にすごくワクワクするんですよ。「出番きた!」みたいな感じで(笑)。

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