探検家の角幡唯介さん(42)とヤフー会長でZコーポレーション社長の宮坂学さん(51)。ノンフィクションとインターネットの世界におけるトップランナーの二人は、どんな日常を送っているのか。住まい、休日、人生の目標まで、じっくり語っていただいた。

宮坂学さん(左)、角幡唯介さん(右)

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東京に飽きて、鎌倉へ引っ越した

角幡 僕は2017年に市ヶ谷から鎌倉へ引っ越しました。動機としては、東京に飽きたという理由が大きかったですね。

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宮坂 今朝も白馬から来たんですけど(笑)。親父が最後白馬に住んでいたんです。一度、ぜひ遊びに来てください。

角幡 普段は、そこにお住まいなんですか。

宮坂 さすがに普段は東京に住んでるんですけど、ちょこちょこ向こうに帰っています。月に1~2回、白馬へ帰るという生活を10年以上続けていますね。

角幡 家のメンテナンスはどうしてるんですか?

宮坂 行ったり来たりしているので、向こうの友達もいっぱいいるんですよ。村おこしの手伝いもしています。白馬は変わった人がいっぱいいるんですよね。楽しいところです。

角幡 僕の場合は、都心から鎌倉への移動だったんですが、妻と娘の3人暮らしで、引っ越そうかみたいな話になった時に、僕はそれこそ白馬くらい遠くても良かったんですけど。

宮坂 おお、いいじゃないですか。

 

角幡 「奥多摩どう?」とか。でも妻はそこまで遠くまで行きたくないから「だめ」と言って。うちの奥さん、千葉出身で、埼玉はNGだったんですよね。よく分からないけど。

宮坂 ライバル意識でしょうか。

角幡 妻が、鎌倉の家を見つけてきて下見もした後に、「川越でもいいじゃないか」と言ったら、それでまた喧嘩になりました。「埼玉だけは絶対に嫌だって言ったのに。どうしてまたそういうこと言うの」って。山が遠くなってしまうので、僕は千葉が嫌なんですよ。それで、「神奈川しかないか」ということになったんです。

 最初、「鎌倉なんか住めるか」って思ったんですよね。余裕のある人たちが文化的生活を楽しんでます、みたいなハイソなイメージが苦手だったんです。行ってみたら「すごくいいところだね」という話になって(笑)。でも、結局決め手は「飽き」なんですよね。

宮坂 「飽き」がキーワードになってきましたね。

人生が固まってしまうから、家を買うことにビビった

角幡 やっぱり、家を買うということに僕はビビったんです。人生が固まってしまうし、事実上、海外移住ができなくなるわけじゃないですか。そういう計画があるわけではないですが、可能性が狭まるから嫌だなと思っていました。市ヶ谷からの引越しを考えた時に、都内の賃貸物件を探していたんですよ。そうしたら、西落合10万円で結構広い物件があって「こっちにしようか」と言ってたんですよね。だけどその時に、「ああ、もう西落合の生活ってまた容易に想像できるな」と思い直しました。また前の生活に戻ることを想像して、「ああダメだ、もう飽きた」と。

 

宮坂 人生における「飽き」が飛躍を生むのかもしれない。

角幡 そうですね。それで思い切って35年ローンで鎌倉に一戸建てを買ったんですけど、引っ越してしまうと環境も変わって色々新しいことも起こるし、楽しいんですよね。