師弟同時昇級ならば、32年ぶり史上2例目の快挙
そしてデビュー以来連勝が続く順位戦。現在所属するC級1組では、師匠の杉本昌隆ともども無敗街道を走っている。師弟が同クラスで同時昇級となれば、これは第45期(1987年度)B級2組順位戦で大内延介・塚田泰明師弟が成し遂げて以来、32年ぶり史上2例目の快挙となる。
そこに立ちはだかるのが、やはりC級1組で全勝の近藤誠也だ。2017年の竜王戦では藤井にデビュー19連勝目を献上してしまった近藤がリベンジに燃えるのは間違いない。2月5日に行われるC級1組の藤井-近藤戦は天王山となる注目カードだろう。
ダブルタイトル戦に臨む渡辺明
藤井の話を続けてしまったが、将棋界での価値は何といってもタイトル戦にある。1月から始まる王将戦七番勝負(2019年に予選が始まる69期から正式名称が「大阪王将杯王将戦」となる)、2月から始まる棋王戦五番勝負の2つに登場するのが渡辺明だ。王将戦では挑戦者として久保利明と、棋王戦ではタイトル保持者として広瀬章人と戦うことになっている。
渡辺は2017年度に不調に陥り、竜王失冠やA級陥落の憂き目をみた。だが年度末に辛くも棋王を防衛してからは復活の兆しを見せる。王座戦で挑戦者決定戦に進出すると、JT杯日本シリーズでは4年ぶりに優勝。B級1組順位戦でも圧巻の9連勝で年明けを待たずにA級復帰を果たした。新年から行われるダブルタイトル戦では、2年ぶりの二冠復帰も視野に入っている。なぜ復活できたのだろうか。本人に話を聞いた。
「昨年度はとにかく後手番で勝てませんでした(7勝18敗)。私は『後手番では5割勝てばいい』というのが持論なんです。先手で7~8割勝てば、トータルの年度勝率は6割を維持できますから。後手番で5割勝つための作戦を用意して、それが今年度はうまくいっているという感じですね(2018年度の後手番成績は13勝5敗)。
昨年度の状態がずるずる続くと完全に力が落ちたことになりますが、自分のいい時の状態に戻すことができたので不調は一過性のものだったと言えます。王将リーグの前までは戻っている実感を得られませんでしたが、挑戦権を得たことで自信が持てました」