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2020年までに商用化 タクシー「自動運転」実現のために何が必要か

2019/10/08
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大きな影響力をもつウーバーやリフト

 自動運転が自動車産業にどのようなインパクトをもたらすのかを読み解くには、EV化、自動車シェアリングなどを含む次世代自動車産業全体を分析することが不可欠だ。まず近未来のモビリティー産業において大きな影響力をもつと考えられているのが、ウーバーやリフトなどのライドシェア会社である。これは、導入当初は必然的にコストが高い自動運転車を自家用として商業化するのは困難と見られている一方、ライドシェア会社であれば多くの利用者を対象として稼働率を高められるので比較的早期に収益化可能であると考えられているからである。また世界的に進展しているシェアリングの動きも、「自動車はシェアして利用するもの」という価値観を急速に定着させてきている。近年、温暖化が進行しているが、特に2018年においては世界的に最高気温の記録を更新した地域が相次いだ。環境保護やサステイナビリティーの動きは、世界的な異常気象により、もはや多くの人達が身体感覚的に必要だと考える水準にまで高まりつつある。エネルギーを化石燃料からクリーンエネルギー中心に移行し、モノの利用ではシェアリングを進めるといった動きは、今後さらに拍車がかかると予想される。

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 自動運転化とは、「AIが運転手」ということだが、それを実現するのに「半導体消費」が著しいこと(AI用半導体が生命線となっていること)も特徴だ。したがって、インテルやNVIDIAなどの半導体メーカーもテクノロジー企業側の主要プレイヤーとなっている。そうした一方で、もちろんトヨタ、ホンダ、日産やGM、フォードといった既存の自動車会社も、テクノロジー企業に対抗しようと巻き返しを図っている。特に安全性の徹底という最重要部分を担うのは、やはり日本勢を中心とする自動車メーカーだろう。それでも既得権にはもはやしがみついていられないと社内外で危機感を高め、テクノロジー企業として、そしてモビリティーサービス企業として生まれ変わろうとしている。