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元宮内庁職員が語る「明るい東宮御所時代」と「天皇陛下に差し上げた“ぬるめ”のお茶」

家入建次郎さんインタビュー

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美智子さまからは「今後、くれぐれもお体を大事に」

家入 皇后陛下とは、在職中に葉山御用邸でのご静養に際してご到着の「安着祝い」で、お茶やジュースをいただきながらお話しさせていただいた折に「ちょっと目がかすんで、見づらくなって」と申し上げると「それは白内障かもしれませんね、検査したほうがいいですよ」とご助言をいただき、「ありがとうございます」と申し上げたのです。侍従職の殿部は、御車(みくるま)寄せで両陛下をお出迎えするものですから、治療をした後に女官の方へその旨をお伝えいたしました。皇后陛下に「ありがとうございました」とお礼を申し上げる機会をいただいて、「大変よかったですね」と仰っていただきました。

2009年11月12日、「天皇陛下御即位20年をお祝いする国民祭典」で祝賀にお応えになる天皇皇后両陛下 ©JMPA

――宮内庁を退職されるときは、両陛下にご挨拶されるのですよね。

家入 そうです、あの時は一人で拝謁を賜りました。天皇陛下から「長い間、ご苦労さま」と仰っていただき、皇后陛下から「今後、くれぐれもお体を大事に」と。紀宮さまもいらっしゃいました。退職した後、園遊会にお招きいただいたことがありますが、いらしていた紀宮さまとお話しさせていただいたこともあります。皇族方がお分かりになりやすいよう、元職員は列の最後のほうにいるように言われるんですよ。

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――ご退位のあと、両陛下は、まず高輪の旧高松宮邸へお引越しされて、最後に東宮御所へお戻りになることになっています。

家入 両陛下にとられては、東宮御所は本当にいい思い出が山ほどおありの場所だと思います。皇后陛下は、紀宮さまがご結婚を控えられた2005年、誕生日に際した文書回答で「清子の嫁ぐ日が近づくこの頃、子どもたちでにぎやかだった東宮御所の過去の日々が、さまざまに思い起こされます」と述べられました。

2005年10月5日、告期の儀に臨まれる天皇皇后両陛下と紀宮さま(当時) 宮内庁提供

 昭和、そして平成の時代を通して、国民の中に入って、直接交流される機会が非常に多かったですよね。そして即位されてからはより一層、明るいところではなく、全国津々浦々、困った人々のいるところを何より大事に訪れられていたように思っております。

元宮内庁職員が語る「明るい東宮御所時代」と「天皇陛下に差し上げた“ぬるめ”のお茶」

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