書籍「僕が夫に出会うまで」
2016年10月10日に、僕、七崎良輔は夫と結婚式を挙げた。
幼少期のイジメ、中学時代の初恋、高校時代の失恋と上京、カミングアウト……。僕が夫に出会うまでを振り返り、何を考え、何を感じて生きてきたのかを綴った「僕が夫に出会うまで」が現在発売中です。
文春オンラインでは中学時代まで(#1〜#9)と、母親へのカミングアウト(#28〜#30)を特別公開中。
自分がゲイであることを認めた瞬間から,彼の人生は大きく動いていきます。さまざまな出会いや別れ、喜び、悲しみ、怒り──幾多の困難を乗り越えて、生涯のパートナーに出会い、そして二人は大きな決断を下す。
物語の続きは、ぜひ書籍でお楽しみください。
僕は中学生になった。中学生活が始まると何もかもが男女でキッチリ分けられるようになり、男子も女子もお互いを「異性」として意識するようになっていた。
小学時代に女友達しかいなかった僕にとって、なんだか居心地が悪かったが、僕なりに男子と馴染もうと努力もした。ただ、男子と会話をしていると、どこか少し、緊張してしまう自分にも気が付いた。
今まで男子と関わってこなかったのが原因なのかもしれないが、もしかするとみんなが言うように、やっぱり僕はどこか変なのかもしれないと、自分でも感じるようになっていた。それが原因かはわからないが、クラスに友達と呼べる人ができず、廊下やトイレでいきなり殴られたり、顔にツバを掛けられたりすることもあった。
そのまま1年が過ぎ、2年生になると、生徒会会計長に立候補をした。せっかく学校に来ているのだから、何か自分にできる事をやろうと考えたのだ。それが僕にとって救いになり、そして生徒会室での初恋が始まる事になる。
チャラケている友人が2人きりのときに見せたギャップ
生徒会は僕に居場所を与えてくれた。放課後、生徒会室へ行けば安全で、男女関係なく、同じ目的を持つメンバーが集まる。なんの面白みも無く、むしろ苦痛でしかなかった中学生活も、居場所が1つできたことによって、楽しみを見出せるようになっていった。
そんな2年生のある日、副会長に連れられて、生徒会室へやって来たのが司(つかさ)だった。司は副会長と同じクラスに転校してきたばかりの噂の男子で、どうやら副会長と仲良くなったようだ。見た目は、背は低いがテニス部だったせいか色黒で、まつ毛が長く、目はパッチリしているが眼光が鋭い。性格はヒョウキンなやつで、よく喋る、楽しい人のように思った。
司は放課後、よく生徒会室に顔を出してくれるようになっていた。誰でもウェルカムな生徒会室は、特に仕事があるわけでもなく、司を交えて学校の閉門時間ギリギリまでお喋りをしたり、先生から隠れてお菓子を食べたりして遊んでいた。
閉門後、帰り道は、司と2人きりになる事が多かった。気が付いたのだが、みんなでいる時の司と、2人きりになった時の司にはギャップがあった。学校ではチャラケている司が、僕と2人きりになると、急にまじめな顔を見せたりするのだ。