「ザ・少女漫画」を支える深キョンの希少さ
ドラマ『はじこい』で彼女が演じる順子の年齢設定は32歳から33歳。ですが、実際の深キョンは36歳。世の中的には、「アラフォー」と呼ばれる世代です。
現在、地上波で19時から23時、いわゆるプライムタイムの時間帯にオンエアされるドラマのメインターゲットはアラサー以上の女性。主演を張る女優は、この層にリーチできないと視聴率に結びつかず、テレビ局としてもCM出稿をしている企業に結果を提示できません(なので、不倫やスキャンダルでダークなイメージがついた女優はこの枠から外されがちです)。
アラサー以上の女性視聴者から支持される主演女優のひとつの方向性、それは「カッコ良さ」「強いリーダー感」を前面に出すこと。代表的な名前を挙げると、天海祐希、米倉涼子、鈴木京香、松嶋菜々子といったところでしょうか。
当然、深キョンはこのタイプには当てはまりません。では、アラフォー世代に入った彼女がプライムタイムのドラマで主演を張れるのはなぜか。それは深田恭子が「周囲に媚びない圧倒的なガーリー感」を誰よりも魅せられ、尚且つ同性の支持を得られる、稀有なタイプの女優だからです。
「異性への媚び」が感じられない孤高の存在
その片鱗がはっきり見えたのは2004年の映画『下妻物語』。この作品で彼女はゴリゴリのロリータファッションに身を包む竜ヶ崎桃子を演じ、多くの女性ファンを獲得しました。ロリータって、女性ファッションのある意味究極の形ではあるのですが、男性視点が一切関係ないんですよね。異性のためではなく、自分のために究極のガーリーを身にまとうスタイル。
女性はテレビに映る“嘘”に敏感です。ビジネス清純、ビジネス天然、ビジネス元気……そんな同性のビジネスキャラクター構築を女性視聴者は画面のこちら側からすぐに見抜いて冷めてしまう。中でも嫌悪感を抱きやすいのが「媚びる空気」なのですが、深キョンはどんなに甘い服装をしても、ドール仕様のつけまつげ&完璧メイクで現れても、そこから「異性への媚び」が感じられない孤高の存在。それは彼女が鏡に映る可愛い自分の姿のみにフォーカスを置き、他人、特に男性からどう見られるかについては関心がないからなのでしょう。