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三人で行ったカラオケで起きてしまった事件
僕らは、三人でカラオケに行くことになったが、
僕の歌う番がきた。マイクを持ち歌詞を見た。
『ナンバーワンにならなくてもいい もともと特別なオンリーワン……』
歌おうと口を開いた瞬間、
涙がこぼれた。なんとか頑張って、歌おうと思ったが、
「司のナンバーワンになりたい‼」
もちろん声には出さなかった。僕の背中をさする司の掌(てのひら)が、温かくて、嬉しかったから、もうしばらく、
秀美が言った。
「なんで泣いてるの?」
僕がテーブルに突っ伏したまま、なにも答えなかったから、秀美が遠慮がちに続けた。
「なんかあったら、何でも話してね。私たちでよければ」
「お前のせいなんだよ!!」とは、やっぱり言えなかった。
写真=平松市聖/文藝春秋