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ジョーダンもスラムダンクも変えられなかった日本バスケ界 強くしたのは誰か?

44年ぶりの五輪出場へ

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(3)「日本バスケ黄金世代」

 実は今回のW杯予選では、大きなターニングポイントがあった。それが昨年6月から9月にかけてだ。

 簡単に今回の予選を振り返ってみる。グループ内の総当たり戦で行なわれる予選では、一昨年の11月の初戦から4連敗を喫して、あと1つ負ければ敗退の危機に瀕していた(予選3試合目と4試合目に敗れたのは、前述の富樫と馬場が怪我で欠場していた影響もあった)。

 そんななかで、日本に追い風が吹く。まず、Bリーグ初代MVPに選ばれたニック・ファジーカスの日本への帰化が昨年4月に認められた。

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アメリカの名門ゴンザガ大でプレーする八村塁 ©AFLO

アメリカでプレーする渡邊雄太と八村塁の存在

 そして、何より大きいのが、現在はアメリカでプレーしている渡邊雄太と八村塁が代表に合流する機会が生まれたことだった。

 アメリカのシーズン中には所属チームが例外的に代表への参加を認めない限りは、W杯予選に参加できないのは前述のとおりだ。ただ、昨年6月と7月の予選5試合目と6試合目、および9月に組まれていた7試合目と8試合目に関しては、アメリカのシーズンオフにあたるため、海外で活躍する彼らの参加が可能だった。

 4連敗したあとにチームに合流した彼らが起爆剤となり、日本はそこから4連勝。さらに、彼らがアメリカのシーズンのために参加できなかった最後の4試合も全て勝ちきり、終わってみれば4連敗からの8連勝でW杯予選突破を決めた。

 渡邊は世界最高峰のNBAのメンフィス・グリズリーズと特殊な契約を結んでいるのだが、すでにNBAでの出場試合数はあの田臥をぬいて、歴代日本人1位だ。

 そして、それらの先輩たちの記録をさらにやぶっていきそうな存在なのが、八村である。現在はアメリカの名門ゴンザガ大の3年生だが、今月発表されたアメリカ大学体育協会NCAAのWCC地区(西海岸地区)のMVPに選ばれ、6月のNBAのドラフト会議での指名も確実視されている。