バフェット、ソロスと並ぶ「世界三大投資家」の一人として知られる著者。リーマンショックなど数々の「予言」を的中させてきたその目に映る、最新の未来予測を語りおろした新書が好調だ。著者は親日家だが、人口減でも移民を受け入れず、上辺の好景気に酔う日本の未来には、打開の可能性を示しつつも悲観的。一方、南北統一の実現による朝鮮半島の成長、中国市場のさらなる爆発など、東アジア全域には熱い視線を向ける。
「日本人にとっては刺激的な予測が、細かく具体的に語られるので、取材時には驚きました。投資家として幅広い情報網を持ち、またイエール大といった名門で歴史を学ばれた著者ならではの内容です。取材には、訳者の大野さんとともに、著者の英語の過去記事にも大量に目を通して臨みました。そうしたことが内容の濃さに繋がったのだと思います」(担当編集者の大岩央さん)
主な読者層は、企業に勤めるビジネスパーソン。
「丸善丸の内本店で、何週にも渡り新書部門1位を記録している点が象徴的です。そうした人たちも日本の先行きに不安を感じているのかと。また、ここ数年、翻訳書のニーズの高まりも感じます。日本を含む世界中の“中間層”が、グローバル化で同じように経済不安や移民の問題を身近に感じている中では、海外の知見も参考にしやすいのかもしれません」(大岩さん)
2019年1月発売。初版1万7000部。現在6刷14万2000部