スターが次々と登場し、話題を集め続けるフィギュアスケート。だがその滑りの魅力を言葉にするのは難しい。著者は40年近くフィギュアスケートを見続けて来たエッセイスト。驚くほど細やかに、選手がプログラムの中で見せる一挙手一投足に宿る意味を解読していく。ジャンプが、腕の動きが、音楽と絡み合い、何を表現しているのか。読むと確実に競技を見る目が変わる。フィギュアスケートのファンには「通」が多いというが、そうした人々からの熱い支持で売れ行きを伸ばしスマッシュヒットとなった。

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「本の軸は、大きく言うと3つです。ひとつは、フィギュアスケートというスポーツの、著者なりの見方を提示すること。ふたつめは、羽生選手がなぜ強いのか、なぜ美しいと評されるのかを、あくまで客観的に分析すること。そしてもうひとつは、かつての名選手も含め、これまで著者が見てきたスケーターたちの何が素晴らしいのかをあらためて言語化すること。フィギュアスケートは主観で語られがちですが、『スポーツ』である以上、すべての点数には『裏付け』があります。どうすると点が伸び、その何がすごいのかを、一般の方にもわかりやすく書いた点が、ヒットの理由として大きかったと思います」(担当編集者の金井田亜希さん)

 平昌オリンピック以降の展開を追った2冊目『羽生結弦は捧げていく』も好調。

2018年1月発売。初版1万3000部。現在4刷6万部