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――(ストッキングをひざまで見せた)クラシック・スタイルにしたのは、それとは関係ないですか?

イチロー それとはねえ、きっかけを探していたんで、ずっと去年から。これ(WBC)がいいきっかけになったということです。

――日の丸が見えるために、あのスタイルを選択したわけでは……。

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イチロー まったく違いますね。まったく違います。

©文藝春秋

――君が代は歌えますよね。

イチロー 歌えと言われれば。

――歌いました?

イチロー 気持ちの中では。

――意味は知っていますか?

イチロー ウン、知っているつもりです。ちょっと解釈は時代によって違うみたいだし、難しいところではありますよね。

――日の丸もアジアでは日本人が思っているものと違う意味合いで見られていると思います。その日の丸を目にする機会というのはいまスポーツの場面が一番多いでしょう。それではそういう様々な背景があっても、やっぱりスポーツという場面で必要なものだと思いますか?

イチロー 日の丸が? ウーン……。

©文藝春秋

――例えば日の丸じゃなくてもいいんじゃないかという考え方もあると思うんですよ。みんなが結束して、集まっていく目印として、例えば日本代表の旗があればそれでいいという考え方もある。それともやっぱり白地に赤い日の丸というのは必要だと……。

イチロー それは色んな考え方があっていいんじゃないですか。

――イチローさんご自身はどう思います?

イチロー ボクはだから、新しいものにトライして何かを見つけていくことも大事なスタイルだし、古いものにも大事なものってたくさんあるから、それも大事にしていく。そういう意味ではボクは(日の丸は)大事なものだと考えていますけどね。

――日の丸でいいと思います?

イチロー 日の丸で、なのか、日の丸が、なのかは分からないですけど、僕はいいと思います。いいと思いますね。ただ考え方として、色々なものがあるのもいいと思いますね。

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――最後の質問です。日の丸を背負った戦いは、何のために戦うんですか?国のためなのか、日本の野球界のためなのか。チームのためなのか、家族や自分を応援してくれている人のためなのか。それとも自分自身のためなのか。イチローさん自身は初めて日の丸を背負って戦ったこのWBCでどんなことを思って戦っていましたか?

イチロー どれもかぶっているでしょうね。一つではないです。

――それでは国のためにという気持ちもありましたか?

イチロー 当然ありました。

――日本球界のためにということも?

イチロー ありました。

――強いて言えば、どれが強かったですか?

イチロー ボクはまず自分ありきっていうか、自分がなかったら、それは始まらないですから。そう考えてはいます。

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――そういう自分というものから家族やチームと広がっていったものが国なのか。それとも先に国があって、日本の球界があって、そういうのはまた別物なのか。

イチロー 順番はつけがたいですね。でも、自分のプライドというのは大きかったですね。それは確かですね。ただ日本人としてのプライドも大きかったです。それは順番はつけられないです。

――そういう意味では色んなものが並列しているという……。

イチロー ただ最後は国ってことになるんでしょうね。最後は。そう思いました。

――なぜですか?

イチロー 分からないです。なぜかは分からないですけど、そういう気持ちが湧き上がってきたから、あれだけまとまったんでしょう、最後はね。