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連載『めちゃイケ』、その青春の光と影

「岡村さん、『めちゃイケ』…終わります」 片岡飛鳥が“22年間の最後”を決意した日

フジテレビ・片岡飛鳥 独占ロングインタビュー#2

入社して『ひょうきん族』最後のADに

<当時、フジテレビのトップに君臨していたのは鹿内春雄。創業者一家の2代目として80年に35歳の若さでフジテレビ副社長に就任(85年、会長に)。父・信隆が行った路線とは逆の改革を行い、低迷していたフジの大改革に成功。「楽しくなければテレビじゃない」のキャッチフレーズと共にフジテレビを業界のトップに導いた立役者だ。ところが88年4月、片岡がフジテレビに入社してわずか2週間あまりで急逝する。>

 フジテレビの最終面接は当時まだ42歳の鹿内春雄さんが中央にドーンといて、その周りを年上の役員たちが囲んでる。春雄さんがほぼ1人で質問して、それを周りの役員が聞いているんです。春雄さんは男の色気というか、大人の迫力でものすごい存在感がありました。今でも覚えてるのが、春雄さんが僕をじっと見据えて「お前はさあ、一匹狼タイプだろ?」って聞くんです。ヤバいと思った僕が慌てて「いえいえいえ、僕はすごくチームワークとかが好きです」って答えたら、みんながどっと笑ったんです。で、リラックスできた最後に「今はナンボのものでもないですけど、あの日フジテレビに入れて良かったと思われる人間になります」って言ってみたら春雄さんが「おう、わかった」って。他局では全然上手くいかなかったお見合いがたまたまハマったんだと思います。亡くなった春雄さんには伝えられないんですけど、そこから30年のテレビ人生が始まったんですから、大感謝ですよ。

テーブルを挟んで対峙した鹿内春雄(故人)との会話はその日が最初で最後となった

 面接中も入社してからも僕はずっと「ひょうきん族で仕事をしたい」って念仏のように言い続けていたんですけど、願いが叶ってADに配属してもらえた。僕が入ってから1年後に番組が終わるので、結果として『ひょうきん族』最後のADでした。

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 入社直後に『ひょうきん族』でADをやって、その後『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば』でディレクターになって、『めちゃイケ』で自分の番組をつくって、1988年4月1日の入社から30年ぴったりの2018年3月31日にそれが終わった。数えてみると30年中26年、土曜夜8時をやらせてもらっている。それは本当にテレビの世界においてありがたいことだったと思いますね。だから『めちゃイケ』の最終回に、たけしさんとさんまさんに出て頂いたのは、この30年間が地続きになっているような気持ちになりました。

『めちゃイケ』最終回での全員集合。この船は第1回放送でメンバーが乗っていたのと同じ個体。片岡いわく、「第1回と最終回が同じシチュエーションというのは、実は『ひょうきん族』の終わり方と一緒なんです」 ©フジテレビ

#3 「早く紳助さん連れて来いよ!」 『ひょうきん族』で片岡飛鳥が怒鳴られ続けた新人時代 へ続く

#1 『めちゃイケ』片岡飛鳥の告白「山本圭壱との再会は最後の宿題だった」
#4 「飛鳥さん、起きてください!」 『いいとも』8000回の歴史で唯一“やらかした”ディレクターに
#5 「160cmもないでしょ?」『めちゃイケ』片岡飛鳥と“無名の”岡村隆史、27年前の出会いとは

#6 「ブスをビジネスにする――光浦靖子は発明をした」『めちゃイケ』片岡飛鳥の回想
#7 「『めちゃイケ』はヤラセでしょ」という批判 フジ片岡飛鳥はどう考えてきたか
#8 「加藤のマラソンが間に合わない…」『27時間テレビ』片岡飛鳥がナイナイの前で泣いた日
#9 「僕が岡村を休養まで追い詰めた…」『めちゃイケ』片岡飛鳥の自責と“打ち切りの危機”​​
#10 「最高33.2%、最低4.5%」『めちゃイケ』歴代視聴率のエグい振り幅――フジ片岡飛鳥の告白
#11 「さんまさんを人間国宝に!」ネット時代にテレビディレクター片岡飛鳥が見る“新たな光”とは?

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※1 伊藤正宏…1963年生まれ。『とぶくすり』、『めちゃ×2イケてるッ!』、『料理の鉄人』、『クイズ$ミリオネア』、『空から日本を見てみよう』など数多くのバラエティ番組の構成作家を歴任。現在は『ポツンと一軒家』などを担当。
※2 三宅恵介…1949年生まれ。『オレたちひょうきん族』の「ひょうきんディレクターズ」のひとり。クレジットは「三宅デタガリ恵介」。『あっぱれさんま大先生』や『明石家サンタ』など明石家さんまの番組ディレクター・プロデューサーを歴任。

聞き手・構成=てれびのスキマ(戸部田誠)
写真=文藝春秋(人物=松本輝一)

「岡村さん、『めちゃイケ』…終わります」 片岡飛鳥が“22年間の最後”を決意した日

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