先週ブレイクし、そのあとすぐさま消えた塚田一郎氏(元・国土交通副大臣)。安倍首相や麻生財務大臣の意向を忖度し、道路建設をめぐる利益誘導をしたと言ってしまったあの名スピーチ。

《吉田幹事長が私の顔を見て、「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」と。私、すごく物わかりがいいんです。すぐ忖度します。「分かりました」と。》(塚田一郎)

辞任を表明した塚田氏 ©時事通信社

 忖度、忖度というが「分かってるな」と具体的に言ってくる人がいることを教えてくれた。つまりこれはもう忖度ではない。

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「塚田分かってるな」と語った吉田幹事長に注目

 さらに注目したいのは「吉田幹事長」という登場人物である。自民党の吉田博美・参院幹事長のことだ。現・参院のドン。そして塚田氏は今年改選を迎える必死の参議院議員である。この関係性だけでも十分「いい匂い」がするではないか。

 当コラムでは吉田博美氏の言動にはちょいちょい注目していた。どんな人物なのか、あらためて過去の記事や発言をみてみよう。

吉田博美氏 ©JMPA

 まず、2017年末の毎日新聞が吉田博美氏にスポットを当てていた。

「参院自民 増す存在感 吉田氏、野党人脈生かし 来秋の総裁選 動向焦点」(毎日新聞2017年12月29日)

 要点を抜粋すると、

・安倍晋三首相の「1強」が自民党内で続く中、参院自民党がじわりと存在感を高めている。

・空気が変わったのは16年7月、吉田氏の参院幹事長就任。師と仰ぐ青木幹雄氏の隠然たる影響力もあって参院を統括し、野党とパイプを築いて力を蓄えた。

 いかがだろうか。かつての参院のドン・青木幹雄氏の影響もあり、頭角を現してきた吉田氏の様子がわかる。そしてこの記事の時点では「来秋」となっている自民党総裁選で吉田氏がどう動くか注目されていた。

 では、その総裁選(昨年秋)で吉田氏はどのような動きをしたのか?