4月7日に投開票された大阪府知事と大阪市長のダブル選挙は、地域政党「大阪維新の会」の吉村洋文氏と松井一郎氏がそれぞれ圧勝した。府議選と市議選も維新が圧勝し、「大阪都構想」へ一歩踏み出した形だが、吉村氏と松井氏はこれまでさまざまな発言で物議を醸してきた。2人の発言を振り返ってみる。

大阪府知事・市長ダブル選で勝利し、記者会見する「大阪維新の会」の松井一郎氏(左)と吉村洋文氏=7日、大阪市中央区 ©時事通信社

松井一郎 大阪市市長
「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」

ツイッター 2016年10月19日

 松井氏の発言の中でも物議をかもしたのがこれ。沖縄県の米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事現場に派遣された大阪府警の機動隊員が、反対する市民に対して「土人」などと差別発言したことに関して、ツイッターで上記のように投稿。差別語による罵倒を肯定する発言として非難を集めた。

ADVERTISEMENT

 翌日の記者会見では「土人」との発言は不適切だったとした上で、「売り言葉に買い言葉で言ってしまうんでしょう」と機動隊員を擁護した(沖縄タイムスプラス 2016年10月20日)。


『誰が「橋下徹」をつくったか 大阪都構想とメディアの迷走』などの著書があるジャーナリストの松本創氏は、「在阪メディアがタレントや政治家など毒舌キャラを礼賛した結果、松井氏も府民にとって親しみやすいキャラとなった。公で相手を口汚く攻撃し排除してもいいという風潮を維新が浸透させた」と指摘。「松井氏が知事でいる限り、弱者に対する暴言の風潮は拡大するだろう」とコメントした(東京新聞 2016年10月22日)。

災害関連の失言の数々

松井一郎 大阪市市長
「世間は騒がしいようですが、ここは、本当に静かです。旨い酒と肴で充電中」

ツイッター 2012年8月14日

 松井氏は災害に関する発言でも世間を騒がせた。2012年8月、大阪府を記録的な豪雨が襲い、1名が死亡、大阪府や京都府などで多数の床上浸水、床下浸水の被害が出た(平成24年8月豪雨)。

 そんな中、松井氏は午前10時に福岡県の妻の実家でのんびりツイート。以降、半日以上なしのつぶてだったが、翌日「災害中に不謹慎な呟きなのでは、と娘から叱られました」と謝罪のツイートを行った。