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特集観る将棋、読む将棋

「『両取りヘップバーン』はそんなに好きじゃなくて……」あの将棋オヤジギャグはこうして生まれた

――豊川孝弘七段インタビュー #1

2019/04/26

〈悲喜交々、コモエスタC1!〉

 これは2019年3月5日、第77期C級1組順位戦の最終対局日の夜に、豊川孝弘七段がツイッターに投稿したものだ。この日、注目の藤井聡太七段は勝利したものの、同じ勝ち星で昇級を争っていた近藤誠也五段、杉本昌隆八段、船江恒平六段の3人も勝利したため、B級2組への昇級を逃していた。

心温まるファンへの配慮

 写っているのは、室田伊緒女流二段、北浜健介八段、前列でユニークなポーズをとっている豊川七段、そして中央で笑顔を見せる藤井七段。

「なんか気持ちが穏やかになるいいショット」

「聡太七段が笑顔で良かった… 豊川先生ありがとう、最高d( ̄  ̄)」

 このツイートを見た人は、こんな感想をたくさん寄せていた。

今年52歳となった豊川孝弘七段

「さぞや落ち込んでいるだろう」

 藤井聡太ファンの多くがそんな思いで過ごしていた夜だからこそ投稿された、豊川七段による心温まるファンへの配慮のようにも感じられたのだ。

ギャグを交えた解説で大人気

 豊川孝弘七段は、1967年2月20日生まれの52歳。ギャグを交えた解説で大人気の棋士である。昨今の「観る将」ブームを支えているのは、タイトル戦に登場するトップ棋士の対局だけではなく、こういった味のある解説をするベテラン棋士の存在によるところも大きい。

一昨年には『豊川孝弘の将棋オヤジギャグ大全集』という著書も上梓した

 このインタビューでは、ギャグのこと、3度も対戦を重ねた藤井七段のこと、将棋の普及と指導のことなど、幅広くお聞きした。まずは、先ほど紹介したツイートの話から始めよう。