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むしろ面白おかしく消費された「神の国」
そのいっぽうで、「神の国」発言には肯定的な意見もみられた。「そもそも日本は八百万の神々の国だ」「戦前の神国思想とは違う。全文を読めばわかる」「憲法とも矛盾しない」などがそうだった。
同年8月には、『日本は「神の国」ではないのですか』(小学館)という論集まで刊行された。当時高校1年生だった私も、すぐに買って読んだ。手元に、蛍光ペンや赤ボールペンで線引きしたものが残っている。
ただ「神の国」発言は、どちらかというと政治性抜きに、トンデモ発言のたぐいとして面白おかしく消費されたように記憶する。少なくとも、私の周辺ではそうだった。
個人的には、「神の国」というキャッチーなワードが気に入り、北畠親房の『神皇正統記』に手を出した。「大日本は神国なり」で知られる冒頭部分は筆写までしたし、暗誦もできた。またそれがウケたのである。
悪ふざけな気もするものの、現在から振り返れば、このような受け流し方は正しかったように思われる。