「神の国」発言はどこまでもネタ

 保守っぽいことを「おべんちゃら」でいう。それはネタとも言い換えられる。このような集票のための保守ネタは、しかし、やがてベタに変化していく。

森喜朗氏(中央) ©文藝春秋

 代わり映えのしない「教育勅語」肯定論のごときが絶えないのも、こうしたことと無縁ではあるまい。「神道政治連盟国会議員懇談会」に属する国会議員は、2016年段階で304名に達した(青木理『日本会議の正体』平凡社)。これはじつに全国会議員の約4割にあたる。

教育勅語は「道徳などに使うことができる分野は十分にある」と語った柴山昌彦文科相 ©文藝春秋

 とはいえ、ネタはやはりネタであって、どこまでも中身がない。相も変わらず絶好調な「失言メーカー」はそのことを思い出させてくれる。真剣な批判だけでは、そこに内実があったと思わせかねない。だから新時代を前に、あらためて銘記しておきたい。「神の国」発言は、やはり笑うべきトンデモだったのだと。

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【参考文献】
加地伸行編著『日本は「神の国」ではないのですか』小学館文庫、2000年。
※「神の国」発言は同書より引用した。ただし、漢数字をアラビア数字に改めた。