1ページ目から読む
3/3ページ目

常設展も楽しいんですよ

 何度もきて、隅々まで展示を見ているはずなのに、来るたびに新しい発見や思考に辿り着くというのはこの特別展の良さであり奥深さであると思います。また、子供連れからお年寄りまでかなり幅広い来館者が展示を楽しんでいるように見受けられ、長い長いゴールデンウィークにどこにも行く予定がないよという皆さまは是非足を向けてみていただければと存じます。

 蛇足ながら、この素晴らしい特別展を後にすると科学博物館の常設展、とりわけ地球館巡りをするのであります。本物のプラントハンターやビーズの展示があったり、企画展もたくさんあって楽しいんですよ。

 で、次男が特に宇宙や原子に興味があるので地球館の地下3階がお気に入りなのですが、ノーベル賞を受賞した栄誉ある日本人たちのパネルに出迎えられてご満悦になりつつ、奥の宇宙の展示が、まあなんつーか、古いわけです。2015年にニューホライズンズが冥王星に接近して詳細な撮影や観測をして、ハート形の謎の模様の発見に世界の物好き(山本家を含む)が釘付けになっていた割に、科学博物館の冥王星の展示は粗いドット絵のような写真のまま。

ADVERTISEMENT

ニューホライズンズが撮影した冥王星の「ハートマーク」 ©NASA

いつまで親子で博物館通いをさせてくれるのかなあ

 太陽系や地球の誕生を操作できる機体は子どもに人気なもののさすがに表示も古臭く、またビッグバンからいまに至るビデオも映像機器が焼き付いているのかイマイチ鮮明でなくて、せっかく優れた場所に高い知見の展示をしているのだから、もう少し今風にできないのだろうか、最新とまでは言わずとも内容を更新できないものだろうかと思うわけですね。リニューアルした「シアター360」も臨場感があって超楽しいんですが、理系的知識の入り口としては常設展示が重要だと思うんです。

 三兄弟が大のお気に入りである地球史ナビゲーターの入り口には「すべては原子でできている」という名言が記され、その原子よりも小さいものを見つけるために、高エネルギー加速器研究機構が電子と陽電子をぐるんぐるん高速で回してぶつけて壊して中身を観測しているんだよ、という加速器の説明をするたびに、もっとこう、行き届いた感じにしてほしいなあと願うわけであります。

 そして、そういう子どもたちの手を引きながら、いつまでこうやって親子で博物館通いをさせてくれるのかなあと父親として思います。それでいて、「パパとママはどうやって俺たちを生んだんだろ?」「精子と卵子がくっつくんだよね?」と尋ねられてしまうという。科学教育ってものは、実にむつかしいものです。

INFORMATION

 ついにこの日が来てしまった……。文春オンラインの謎連載、特にタイトルがあるわけでもない山本一郎の痛快ビジネス記事が待望の単行本化!

2019年5月15日発売。現在、予約受付中。

 その名も『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』。結婚し、出産に感動するのもつかの間、エクストリーム育児と父父母母介護の修羅を生き抜く著者が贈る、珠玉の特選記事集。どうかご期待ください。