文春オンライン

天皇皇后のご会釈も? 「皇居勤労奉仕」はまるで「国民のための皇居スペシャルツアー」だった

皇居に出没する謎のお掃除集団 参加するための4つの条件とは?

2019/04/30
note

 平成から令和の御代替わりにともない、改めて天皇皇后両陛下や皇室に関心が高まっている。天皇皇后のお住まいである皇居の中でも、一般公開されていないエリアにまで足を踏み入ることができ、間近で両陛下に「お会いできる」確率の高い活動があるのをご存知だろうか。それは、「皇居勤労奉仕」である。

赤坂御用地も清掃エリアに含まれる 宮内庁提供

◆◆◆

「皇居内の清掃?」「“ご会釈”って何?」

 私が「皇居勤労奉仕」を知ったのはフェイスブックだったと思う。「今日から『皇居勤労奉仕』に行ってきます」「今日は天皇皇后両陛下のご会釈を賜りました」というような友人の投稿を見て、そんな活動があるのか、と興味を持った。

ADVERTISEMENT

 友人の投稿では勤労奉仕の様子が文章で語られていたが、「皇居内の清掃?」「特別なお土産が買えるとは?」「“ご会釈”って何?」と不明点が多すぎる。「とにかく、一度行ってみたい」と友人が所属する団体に入れてもらい、初参加を果たしたのが2013年5月だった。

 勤労奉仕は通しで4日間の「勤務」で、3日間は皇居内、残り1日は赤坂御用地での作業となる(赤坂御用地の作業日がいつになるかは、前日までわからない)。

 皇居内では、(1)東地区(東御苑エリア)、(2)宮殿地区、(3)西地区(吹上御所エリア)の3つのエリアを3日間かけて清掃する。初日に記念撮影をしてくれることが多く、伏見櫓をバックにプロカメラマンがベストな一枚を撮ってくれる(赤坂御用地では、園遊会が行われる場所で記念撮影をしてもらえる)。

筆者が参加した際にもらった記念写真 ©文藝春秋

一般では立ち入りできない「水田」や「桑畑」も見学できる

「平日に4日間も休み取れないから私には関係ない」と簡単に諦めるのはもったいない。皇居勤労奉仕は、宮内庁が「いつもは入れない場所」に案内してくれる「国民のための皇居スペシャルツアー」といっても過言ではないからだ。

「除草」「清掃」などの仕事が割り当てられてはいるものの、実労働時間は午前、午後ともに1時間半程度。残りの時間は、アテンドしてくれる宮内庁職員の「ガイド」を聴きながら、天皇陛下がお田植えされる生物学研究所構内の水田や皇后陛下の養蚕のための桑畑など、一般では立ち入りができない場所の見学ができるのだ。

陛下がお田植えされる水田 宮内庁提供

 雨が強い日は基本的に作業が中止となるが、お昼ご飯までは様子を見ながら待機することが多い。各団の団長は「万一雨で作業ができない場合に備えて、各団でレクリエーションなどを用意しておいてください」とあらかじめ言われるという。傘を差しながら敷地内の「添乗員(宮内庁職員)付き」ガイドツアーや、自由参加の三の丸尚蔵館観覧ツアーなど、雨の程度やその時の行事予定などに応じて、最大限の「おもてなし」をしてくれる。「雨天プログラム」が別途用意されていることもある。