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「あの宮中に入る方たちは何者か?」
勤労奉仕活動中に引率(という名のガイド)をしてくれるのは、宮内庁管理部庭園課の職員さんだ。
(1)の東地区(東御苑エリア)では、一般参観で入れる場所をガイド付きで見学しながら、二の丸の除草などを行う。ただし、勤労奉仕で入る時は、携帯電話も撮影も当然禁止だ。
(2)の宮殿地区では、一般参賀でよく見るガラス越しの宮殿の中庭に入らせてもらい、除草や落ち葉清掃などを行う。一般参観の方から「あの宮中に入る方たちは何者か」という熱い視線を受けながら中庭に入るのは、ちょっとした優越感である。
(3)の西地区(吹上御所エリア)では、宮中三殿や天皇陛下がお田植えをする田んぼや、皇后陛下の御養蚕のための桑畑の見学をしながら、除草や清掃などを行う。時期によっては、桑畑のお手入れができることもある。
朝から夕方までよく歩き、体を動かして働くので、夜はぐっすり眠れる。不眠の人はチャレンジしてみると、よい効果が期待できるかもしれない。なにしろ皇居は「日本一のパワースポット」と呼ばれている場所なのだ。
皇居勤労奉仕の始まりは、昭和20(1945)年5月に空襲で焼失した宮殿の焼け跡を整理するため、同年12月に宮城県内の有志が申し出たことによるといわれている。以降、同じように「皇居内をきれいにしたい」というボランティアが全国から集まるようになったという。
参加者は連続する4日間(祝日のない月曜から木曜、火曜から金曜のどちらか)の中で3日間を皇居、1日を赤坂御用地内での除草や清掃、庭園作業などを行う。季節に応じた力作業や行事に必要な準備作業を行うこともあり、宮内庁からは「美しい皇居を守る力」と称されている。