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よく出てくる「AI」というキーワード

 次に取り上げたいのは令和初日の記事「令和経済 期待と課題」である(朝日5月1日)。

 ここでよく出てくるのは「AI」というキーワードだった。

 ここ数年の新聞を眺めて実感するのは「AIが来るぞー」とでもいうべき、新聞おじさんの不安・怯え・落ち着きの無さ・いや落ち着け! という様子である。

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 技術の急速な進歩に不安な新聞おじさん。AIによって居場所がなくなるのかと疑心暗鬼な新聞おじさん。紙面を見ているとその様子が伝わってくる。

©iStock.com

 そこで最後に繰り出されるお約束の呪文は、

「人間にしかできない能力を磨きながら、AIを適切に活用する新たな社会を作っていきたい。」(読売新聞、社説5月6日)

 という言説である。

 不安を抱きながらもAI何するものぞと、なんとかエラくあろうとするおじさん。デリケートな心境を感じる。

 そんななか、他紙とは異なったスタンスでAI記事にご執心なのが朝日新聞なのである。

「ナベツネにはわからないだろ」という朝日の声

 最近では「シンギュラリティーにっぽん」という企画を始めた。

 シンギュラリティーとは「人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング。技術的特異点と訳される。」(by朝日)。

©iStock.com

 こういう言葉を当然のようにタイトルに入れるのが「朝日らしさ」である。ここで感じるのは、

「AI? 自分は知っている」

「ナベツネにはわからないだろ」

 という朝日の声である。たしかに聞こえる。先進的なおじさんであろうとするプライドが透けて見える。