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【結婚観のズレ】結婚できない友人に特徴的なこと

『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』刊行記念

2019/05/18
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「迷った挙句に手を出した美人が実は既婚者で修羅場になった」

 かれこれ30人ぐらい「男の結婚できない悩み話」をここ2、3年で聞いたでしょうか。心の中の半分は「なんだよ、自分でも問題が分かってるんじゃないか、ならちゃんと頑張れ」という気持ち、残りの半分は「まだそんなところでグダグダやってるのか。もう賞味期限切れかかってるんだから、よほどハードル下げない限りお前に結婚は無理なんじゃないか」という諦観であります。というのも、男の側の問題に限定すれば「女性に必要以上の若さを求める」とか「自分以上の稼ぎを女性に期待して、あわよくば養ってもらおうと思っている」などの人間のクズ度の高い結婚願望を持っている馬鹿が多すぎるのです。何度「お前、その臭い口をふさいで鏡を見ろ」と率直な意見を申し上げて喧嘩になったか、数え切れません。

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 中には、私の同級生で「学生の頃はあんなにイケメンでかっこよかったのに、まだ独身」という奴もいます。まあ、男から見て「あいつ、モテるんだ。いいなあ」って感じの、容姿端麗成績抜群運動万能人望絶大な生徒会長キャラだったんですよ。でも20年ぶりぐらいに再会し、Facebookで独身をかこち落ちぶれている姿を見ると、結婚にはやはり適齢期があり、若さに依存する資産の償却速度の速さには驚きを覚えるわけです。へえ、あんなにモテモテだったあいつがハゲでチビでデブで色白なだけのおっさんになっていたとはねえ。結婚できなかった事情を聞いたら「よりどりみどりすぎて、迷った挙句に手を出した美人が実は既婚者で修羅場になった、それで懲りて慎重に選び過ぎた」とかいう述懐をされ、「ざまあwww」を通り越した残念な感じが胸を去来するのであります。

このこだわりを容認してくれる女性としか結婚したくない

 でも、男として友人と付き合っている限り、結婚できる男も結婚できない男も男目線で見るとみんな「いい奴」だったり「仕事のできる人」だったりするのです。結婚できない欠点がどこにあるのか、ちゃんと話を聞いてみない限り、意外と男には見えません。でも、家庭の中で男なら誰しもが持つ「男としてのこだわりの趣味や逸品」というものはあり、結婚できない友人に特徴的なのは交際中も結婚後もこのこだわりを容認してくれる女性としか結婚したくないと、壁一面の本棚に詰め込まれたエロ同人誌やガンプラの山を死守しようとするわけであります。

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 つまり、結婚したいという女性に自分を受け入れてもらうために自分が変わるのではなく、相手を変えて自分の趣味を受け入れさせようという無駄な努力を払うわけですよ。いいですか。男から見て「結婚したいなあ」という女性は、それなりに審美眼、選球眼があります。そこへ、普段は着ないちゃんとしたスーツ、ノリの利いたワイシャツで清潔感を出して、相手の話の聞き役に回り興味深く頷いて会話をしようとするのは正しい努力だと思います。一方、ありのままの自分を受け入れてもらうために必死でガンプラの説明をし、好きな漫画の良さを力説し、過去に閲覧したアニメやダウンロードしたエロゲーのストーリーを長々と語りかけるのは、99.9%の女性からすればドン引かれる行為であると、私は思うのですよ。過去何度お引き合わせの場で同席し、そこで自らの趣味を熱く語り、無反応無表情となる女性が放つ絶対零度の空気を体験したと思いますか。「こいつはいい奴だから一度会ってみてはどうか」と女性を呼び出したら冷凍庫なみの室温となってしまう私の立場はメカ次元の彼方へと飛んでいきます。

 それでいて、女性にモテるためにゴールドジムに通い、月に二度は美容院に行くアホもいて、毎度「その努力をするぐらいなら自分の趣味をまず諦めろ」という諫言を申し上げることになります。男もだいたい50歳ぐらいになると結婚をあきらめるようになるわけですけど、うっかり不動産オーナーでそれなりに金持ちだったりすると「20歳ぐらいの大学生と交際したい」とかいう寝惚けた願望を口走るようになり、風俗やキャバクラの太客になっては散財するという寂しい中年生活を送ることになるのですよ。妻子持ちの私たちからすれば、独身中年男が集まって盛り上がる下ネタや猥談ほど居心地の悪いことはありません。別に「私は結果を出している」と上から目線で言いたいのではなく、家庭でも職場でもそういう猥談のプロトコルはとっくに無くなっているので、よほど家庭が冷えていない限り日々の会話の中でそういう話題を仕入れる機会もないのです。かくして、同じく資産を運用している人間の間でも結婚している人と独身のままでいる人の距離が広がっていかざるを得ないんですよね。こちらも、独身の人の前では家庭の話はしませんから、必然的に話題は介護や仕事の話ばかりになるわけであります。