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source : 週刊文春 2012年7月19月号

genre : ライフ, 医療, ヘルス, 社会, ライフスタイル

エレクトメータで勃起を確認

 兆候を察知できる簡単な方法が、早朝勃起、いわゆる「朝立ち」である。久末氏が説明する。

©iStock.com

「夜間の睡眠中に、男性は2~3回、もしくは3~4回の勃起があるのが正常です。1回当たりの勃起時間は3、4分で、長い人は10分程度。これは脳が活動するレム睡眠中に起こります。ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しながら、レム睡眠中に目が覚めるのが質の良い睡眠で、この時、朝立ちしているのがベストです。週に一度も朝立ちがなければ、気にした方がいい」

 取材班の一人(44)は、最後に朝立ちをしたのが何年前だったかを覚えていないほどで、半ば「EDの自覚がある」と言う。そこで前述した城西クリニックが始めた「男性力ドック」で検査をしてみた。

 手渡されたのが、エレクトメータというストッパーつきの巻き尺。これを二週間、毎晩、陰茎に巻き、朝起きた時に何センチ伸びたかをチェックするのである。

エレクトメータ ©文藝春秋

 寝る前に布団の上でパンツを降ろし、陰茎に巻き尺を装着する時は何ともみじめな気分になる。だが、目が覚めて朝立ちしていない陰茎に巻き付いたメーターを見てみると、夜間の知らぬ間に2~3センチ膨らんだ形跡がある。結果を見た久末氏は慰めるように「良かったですね」と微笑む。

「夜間にちゃんと勃起してるじゃないですか。朝立ちしないのは、睡眠の質が悪いのでしょう」

 ただし、性欲がなくなったり、異性への興味がなくなれば、テストステロンの低下と見た方がいいという。

テストステロンをさらに低下させる生活習慣

 次に、「体」の変化もわかりやすい。テストステロンが低下すると、筋肉が落ち、さらに代謝も悪くなる。

「その結果、内臓脂肪が増えて太ります。太って内臓脂肪が増えるのではなく、テストステロンが減って、内臓脂肪がつく。実際、テストステロンを注射すると、内臓脂肪は減っていきます」

 

 堀江教授が提示したデータがある。BMI(肥満度指数)が25以上の肥満の人の割合を、1982年から10年ごとに調査した結果、30代、40代、50代の男性は、すべて10年ごとに肥満の割合が約5%ずつ増えているのである。

 堀江教授が言う。

「調査した20年間で、日本人が摂取したカロリー量は増えていません。女性はすべての年齢層で、肥満の割合が減っています。それなのに男性の肥満が増えているのは、テストステロンの低下と思われます」

 つまり、暴飲暴食がメタボをもたらしているのではない。テストステロンの低下によって内臓脂肪が増加し、それが動脈硬化や勃起機能が弱まるEDの原因にもなっているのだ。

 ビール腹、疲れやすい、肩凝り、腰痛、歩行が遅い、ほてりと発汗、性機能の低下は、テストステロンの減少による症状だという。

 最後に「心」の兆候を紹介しよう。テストステロンの低下は、性欲減少、集中力や記憶力の低下、イライラ、不眠、鬱といった症状をもたらす。久末氏が言う。

「ストレス自体が、ホルモン量を下げます。鬱になる人や大きなストレスを乗り越えられない人は、ホルモン量が低い。精神科で、鬱病の人のホルモン量を検査すると、80%の人がホルモン量が低かったのです」

 性、体、心の変化を見ていくと、これらは40代、50代なら誰でも当てはまるものだ。20歳をピークにテストステロンは下がる一方なのに、日頃の生活習慣でさらに下げているのが問題なのだという。

 男を社会に向かわせる冒険的要素があるテストステロンが減り、元気のない40代、50代が増えたと見られるゆえんなのだ。

(後編へ続く)

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