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最悪の社会を脱する抜け道を作らないと、自分がしんどいなと思い始めたんです。――星野智幸(2)

話題の作家に瀧井朝世さんが90分間みっちりインタビュー 「作家と90分」

2015/12/20

genre : エンタメ, 読書

読者からの質問「『呪文』の続篇はあるのでしょうか?」

 

●ひとつの小説内で語られる言葉は、その一字一句に意味を持たせて書いているのでしょうか? たとえば一見、小説の本筋に関係ないような一場面でも、作者としてはそこになんらかの意味をこめているものなのでしょうか? また、小説の書き手としてどのくらい、細部まで計算して文章を書くべきでしょうか?(20代男性)

星野 小説を書く前は、すごく計算をすると思うんですよね。それなりの構成を考えたりはしますが、書き始めたらたぶん、無意識が6割以上になるんじゃないでしょうか。実際には全力をかけて書きながら計算しているんだけれども、意識に現れてくる部分はせいぜい3、4割でしかなくて、6割は無意識が支配して言語を作ったり、場面を作ったりしている。だから、どんな細部や言葉にも意味は込められているけれど、それが何なのかは書き手にも説明できない。

 だから突然、登場人物が思いもかけない行動をとったり、思いもよらない展開になったりして作者がびっくりするんですけれど。

●星野さんの小説のなかでは、特に「砂の惑星」(『ファンタジスタ』所収)と『俺俺』が大好きです。お尋ねしたいのは、『呪文』の続篇についてです。図領のような人たちに対して、対抗勢力が形成されていく小説をお書きになる予定はないのでしょうか?(50代女性)

星野 『呪文』はよく「続篇がありますよね」と言われるんですが、これはみなさんにぜひ書いてほしいです。二次創作OKの小説なので(笑)。

 ただ、主人公たちがとった行動とは、「対立はしない」ということですよね。対立という図式に巻き込まれたとたん、暴力の嵐に加担していくことになるので、彼らは対抗せず流されもせず、ただそこにいて関心はそらさない、というあり方を選んだのだと思います。

●星野さんは新人賞の選考委員を務められていますが、これからの応募作に求めるものは何ですか?(20代男性)

星野 そうですね、傾向と対策を何も考えていない文学でしょうか(笑)。それと、読みやすさも無視した文学ですね。

 デビュー作というのは、本当にかけがえがなくて、その時にしか絶対書けないものなんです。デビューまでは、人の目とかそういうものがない状態で書ける貴重な機会です。編集者の意見もないですしね。だから、その時の自分の志向を十全に出しきらないと、後で続かなくなると思います。その時にどれだけ自分を突き詰め切れるかが、その後書き続けるための貴重な財産、原動力になりますから。たぶん僕だけじゃなくて、選考委員もみんな、そういう作品に反応していますよ。

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