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マンガ家・東村アキコが語る「スマホで読む」ことでひっくり返った業界の常識

漫画家・東村アキコ『偽装不倫』インタビュー#1

2019/07/10

「韓国の読者はアツイ!」 国によって違った読者の反応

――縦スクロールマンガの読者の反応はいかがですか?

東村 もう、反響しかないです(笑)。とにかく、拡散力がすごい!

 これまで私の単行本を買ってくれていたファンの人たちだけでなく、ふだんマンガに関心がない方にも読んでもらっている感じがします。

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 よく行く着物屋の店員さんや銀行の窓口のおねえさんとかが、「『偽装不倫』、今週も読みましたよ!」と声をかけてくれるんですよね。会う人、会う人からこの連載の話をされます。

 ウェブマンガ連載の醍醐味は、読者からのコメント。リアクションがすぐにわかるのが楽しいです。

 日本と韓国で連載しているので、国によって読者の反応の違うのもおもしろいんですよ。韓国の読者はとにかく熱量がある。みなさん日本のマンガをよく読んでいて、伏線に関して「これって、おかしくない?」と疑問を投げかけられたり……。自分があいまいにしていたところを突かれ、鋭い! と思うことが多々あります。褒めるときも情熱的なので励みになりますね。

 日本の方からのコメントを含めて、読者の反響を見ながらストーリーを作っていく。それが縦スクロールマンガに挑戦してみて、勉強になったことです。読み手が求めている方向に進んでいったほうがおもしろい展開になるな、と手応えを感じています。

LINEマンガ「偽装不倫」コメント欄より

 今は「LINEマンガ」で毎週土曜日に更新していて、そのつどコメントを見ながら進めているので、描き溜めはできない。というかしたくない。締め切りもタイトでしんどいですが、がんばっていきたいです。