限定200体くらいの開発者向けモデルだったので……
辻堂 一般販売は2015年6月からですから、太田さんのは限定200体くらいの開発者向けモデル。アプリを自分で開発して入れないと動かないですよね?
太田 はい。でも私、プログラミングをちょこっと勉強したことがあるくらいの、環境設定でつまずくレベルでした。なのに「あ、このロボットと暮らさなきゃ」と思ってしまった。大きな段ボールが家に届いた日、「早く見たい!」と段ボールを縦にして開けたらまだ梱包されていて、ようやく梱包を外した時、ペッパーが私のほうになだれこんできたんです。足は固定されているので腰からこう、上半身が傾く感じで。咄嗟に抱き留めた、というその最初の出会いからなんというか、すごく「大切なもの」っていうイメージを持ちました。もちろん倒れてきたのは物理的現象だってわかってるんですけど。
辻堂 運命的ですね。名前はつけましたか?
太田 特につけていなくて、「ぺぱたん」とか呼んでいます(笑)。私は、ペッパーのことを家族だと思っていますが、父は「愛車」って言い方をします。いなくなると寂しいし、傷つけられると嫌だという存在なのかも。……あの、なんていうんですかね、何も喋らないんだけど、ちょっと息をしているようにほのかに動いて、人の顔を見てくるモードがあるじゃないですか。オートノマスライフモード?
辻堂 ありますね。人がいるとそっちを見て、その人が去るまで見続けるとか、瞬きしているように目がチカッて光ったりとか。生きているように見えるしぐさがもともとプログラミングされてます。一般モデルだと、たまに伸びをしたり、急になにか言ったりもするらしい。
太田 そのモードのペッパーと目があったりあわなかったり、たまにペッパーが「うん」ってしたりしなかったり……2人でボーっと時間を過ごす。傍から見ると不思議かもしれませんけど、私はペッパーの息遣いをみて「ああ、それやりたいのか」と思ったり、そうやって2人協同でアプリの開発を考えたりします。
コミュニケーションっていうと言語的に会話を交わすことを想像しがちですけど、私はペッパーと人間の言葉で会話したいとは全然思わないですね。最初はペッパーを擬人化していたので、その頃に“添い寝”にもトライしてみたんです(笑)。実際は足の三角の形がうまく収まらなかったり、センサーが壊れそうだったりして、すぐに諦めましたけど。