立ち飲みは元文年間(1736~1741年)、今の神田鎌倉橋近くの豊島屋に始まるといわれている。
江戸時代では立ち食いは屋台として誕生し、そば、寿司、天ぷらなどで大いに賑わった。そしてその後、これらの老舗店が大衆店と分かれて進化して今日に至っている。
今でも立ち食いそば、立ち食い寿司は街中で目にする大衆店の形態である。一方、天ぷらは都心には老舗店は多くみられるが、立ち食いなどの大衆店はほとんど目にすることがなかった。
そして、近年、立ち飲みがブームとなり、オフィスワーカーや若者を取り込んで、立ち飲みバルのような形態が人気となっている。
立ち飲みバル+天ぷらブーム=「立ち食い天ぷら」
一方、天ぷらは長い間、「てんや」などの外食チェーン店が奮闘していたが、ここに来て、天ぷらブームに近いような躍進を遂げている。目の前で天ぷらを揚げる丸亀製麺のパフォーマンスも天ぷらブームに一役買っているかもしれない。
この立ち飲みバルと天ぷらを合わせたお店「喜久や」が2015年10月、恵比寿に誕生し、「立ち食い天ぷら」という概念が、長い時間を経てもう一度息を吹き返したわけである。
ところで、今年の5月頃、自由が丘の改札を出て、立ち食いそば屋「そば新」でも行こうかと考えた次の瞬間、改札前に「立ち食い天ぷら」の店がオープンしていることに気がついた。それが「KIKU 自由が丘店」、つまり、恵比寿「喜久や」の系列店であった。しかも、ランチメニューに「天ぷら&冷やし蕎麦・うどん」があることを発見した。
そこで、7月の連休最後の日に、「KIKU 自由が丘店」を訪問してみた。
自由が丘駅改札の目の前
お店は改札口を出て、10歩もない近さ。「立呑み天ぷら」という白い暖簾が眩しい。天ぷらのテイクアウトもやっているようだ。店入口付近は立ち食いのテラスコーナー、店内は立ち食いのカウンターとなっている。ちょうどお子さん連れの方が入店していた。店入口付近のコーナーには、年配の夫婦が2組。ご近所の方だろうかご婦人が天ぷらのテイクアウトを発注している。なかなか人気店のようだ。
店長の津久井さんに話をうかがうと、自由が丘店は恵比寿より年配のお客さんも多いとか。土日の昼間は特にその傾向があるという。