生放送のエンディングは司会者にとって腕の見せ所だ。尺が余っても足りなくなってもいけない。視聴者からしてみたらピッタリ収まるのが当たり前だが、それには相当な技術が必要だ。それを事細かに解説してみせたのが『安住紳一郎と2019年上半期のTBS』だ。タイトルどおり安住紳一郎がTBSの今年の上半期を振り返る自己批評番組。ここで彼の狂気じみたヤバさが爆発していた。演出は『水曜日のダウンタウン』などを手がける藤井健太郎。TBSが誇る二大狂気ががっちり組んだのだ。

安住紳一郎 ©時事通信社

 安住は自身が司会をした4月30日の『生放送!平成最後の日』のエンディング映像を具体例として挙げながら「この番組自体はさほど成功した番組ではないんですけども、エンディングだけはすごく上手にできた」と解説していく。番組は残り45秒。メインキャストの安住、古舘伊知郎、藤田ニコルの3人が並んでいる。番組で伝えたいことは既に全部言い終えた。だから視聴者に対するお礼を残り時間をかけて言うだけという状態だ。まず古舘が口火を切る。彼が何秒使うかはわからない。それをドキドキしながら聴いている。残り25秒。古舘が話し終え、安住に話を振る。その時の表情は「あとは任せた。もう俺に振るな」だったと安住は“アナウンサー同士のアイコンタクト”を回想する。そして安住は25秒間で挨拶を見事に収めた。それを見ながら安住は後輩アナウンサーたちに聞く。

ADVERTISEMENT

「今、気づいた人? ありましたよ、スーパーテクニックが」