贔屓の野球チームの負けが込むと、衝動的な消費行動に走る癖がある。買い物の高揚感で落ち込んだ気持ちを晴らそうという一種の代償行為かも知れない。

 カープが昨年の日本シリーズでソフトバンクに敗れた後、わが家には「寿がきや みそ煮込うどん5食入り×6袋」が届いた。長い冬をみそ煮込みうどん30食と共に過ごそうという気持ちだったのだろうか。また、今シーズン序盤にカープの負けが込んだ際には「プロ野球チップス24袋入り」の箱が届いた。選手カードを引き当てて、勝てない憂さを晴らそうとしたのだろうか。なにぶん衝動に駆られた行動なので、自分がやったこととはいえ、後から振り返れば「なぜこれを買ったのか……」という疑問が残る訳である。

 その日も、交流戦でなかなか勝てないカープのことを考えながらスーパーに立ち寄った。入り口付近で、ふと色鮮やかな紙パック飲料の一群が私の目に飛び込んできた。次の瞬間、私はその色とりどりの紙パックを買い物カゴに1つずつ入れていた。その紙パックとは「キッコーマン豆乳シリーズ」。

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30種類並んだ豆乳、これはもう買うしかない

 このパッケージ、以前は紀文と書いてあった気がするけれども……。それもそのはずで、1983年にこの豆乳が発売された際の製造元は紀文フードケミファという会社であったが、その後キッコーマンとの資本業務提携・連結子会社化を経て2008年に完全子会社となり、現在ではパッケージから「紀文」の字が消えたのである(※注1)。社名が「キッコーマンソイフーズ」となったあたりから豆乳の味のバリエーションが増え始め、現在では40種類を超える味が販売されるようになった。

 とは言えスペースの都合上か、小売店で全ての種類を見かけるのは大変稀なことである。それが30種類もズラリと並んでいる。これはもう買うしかないと思った。200mlのパックを30種類、1つ1つレジに通す店員さんも大変ならば、単純計算で6kgを超える買い物袋をぶら下げて家に帰る私もまた大変だった。

10×3列で30種類の豆乳

飲み比べてみるべきではないのか

 帰宅して30種類の豆乳を目の前に考える。これをどうするか……? まずは色相で並べて写真を撮ってみた。しかしこれだけあるのだから、飲み比べてみるべきではないのか。とは言え、30種類を一気に飲むわけにもいかない。豆乳に含まれる大豆イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)と化学構造が似ているため、更年期障害を軽減するなどの効果があるといわれる。しかし取りすぎはやはりよくないのではないか。

 内閣府食品安全委員会によれば、安全な一日摂取目安量の上限値は70~75mg(大豆イソフラボンアグリコン換算値)とのことである(※注2)。というわけで、1日に200mlパックを2本程度飲み進めることとした。断っておくが、私はこれまでスタンダードな調製豆乳しか飲んだことがないので、きっと公正な判断が下せるだろうと思うが、評価はあくまで個人の主観である(実はパッケージ違いの調製豆乳を2本買っていたため計29種類だったのであるが、後日別のスーパーで「北海道産大豆無調製豆乳」を代わりに購入し30種類とした)。