ライト兄弟、夏目漱石、スティーブ・ジョブズ、孔子……古今東西の偉人が、成功の裏側で経験した手痛い「失敗」を、温かな筆致で紹介する児童書が好調だ。
「著者とは以前、子供の心についての本でご一緒し、新しい企画を探っていましたが、なかなかいい切り口が見つけられずにいました。あるとき、自分の仕事がなんとなく楽しくないと感じることがあって、理由を考えたところ、失敗していないからだと気づいたんです。思い切った挑戦をしていないな、と。そこから、子供たちに『失敗してもいい』というメッセージを届ける本を作ろうと思いました。でも、失敗を肯定する言葉をただ並べるだけでは説得力がないので、偉人の失敗を取り上げることにしたんです。その際気をつけたのは、敬意と愛を持って紹介すること。他人の失敗を笑うと、笑われることが怖くなって、萎縮してしまいますから」(担当編集者の谷綾子さん)
蛍光色を大胆に使い、味わい深いイラストを多数配したデザインが目を惹く。
「デザイナーの佐藤亜沙美さんは、『クイック・ジャパン』(太田出版)などのデザインを手がけられた尖ったセンスの持ち主です。イラストレーターの“死後くん”さんも佐藤さんのご紹介です。おかげで突き抜けた雰囲気になりました」(谷さん)
大人からもビジネス書として支持されているそうだ。
2018年5月発売。初版1万2000部。現在17刷9万部