これまでさかんに通勤電車の終点を目指して旅をしてきた。南栗橋小手指小金井国府津も、あらゆるところに行ってきた。だが関東の私鉄の雄・京浜急行の終点だけは行っていない。なぜかと問われても特に理由はないのだが、通勤電車の終着駅コンプリートを目指すべく、今回は京急の終着駅の旅をすることにした。果たして、京急の終着駅はどこなのか。筆者は京急やその直通先である都営浅草線・京成線を使う機会が少ないので、すぐには終着駅のイメージがわかない。まずはそれを確認するべく、平日20時台の品川駅の時刻表を見る。

京急終着駅3兄弟「三崎口」「京急久里浜」「浦賀」には何がある?

 すると、20時台品川駅発の京急の下り列車は全部で21本。さすがの大動脈であるが、では行き先はどうなっているか。21本のうち、6本までが羽田空港国内線ターミナル駅。これは終点というよりは目的地のほうであるから除外する。残りは三崎口行が6本、京急久里浜行が3本、浦賀行が5本、神奈川新町行が1本。他の時間帯を見ても、だいたい京急の下り列車は三崎口・京急久里浜・浦賀の3駅を終点としているようだ。というわけで、今回訪れるのは京急終着駅3兄弟ともいうべき三崎口駅・京急久里浜駅・浦賀駅になった。

品川駅から南を目指す京急の赤い電車

 まず最初の目的地は三崎口駅。品川駅から混雑する快特三崎口行に乗って、一路南を目指していく。京急の特徴といえば、時速120キロという在来線でもトップクラスのそのスピード。単に速度というだけではつくばエクスプレスや常磐線が時速130キロ運転をしていてそちらのほうが速いが、車窓風景は田園地帯が続き、さほど代わり映えがしない。それに対して、京急は線路際まで民家やビルが立ち並ぶ市街地の中を駆け抜ける。車窓の移り変わりはついていけないほど目まぐるしく、そのスピード感を堪能することができる。

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 さらに京急の車窓という点では横浜駅を過ぎてからが本領発揮というべきだろう。京急が走る横浜市やその先の横須賀市などは、海の近くまで山あり谷ありの丘陵地がせり出している。その合間を縫うようにときにはトンネルにも入りながら赤い電車が走るから、車窓は起伏に富んだ飽きの来ないものになる。下り列車ならおおむね進行方向左側の標高が低くなっていて、右側が丘陵地。そうした場所に所狭しと住宅地が切り開かれている様子を楽しむのが、京急の旅の見どころなのである。

こちらが今回の旅程。品川駅からずいぶん南北に長い路線図になった