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 ……などとぼんやり外を眺めているうちに、少しずつ乗客が減ってくる。三浦半島に入って横須賀中央駅を過ぎ、堀ノ内駅で京急本線から京急久里浜線に入ったあたりでは空席のほうが多くなるくらいだ。終点3兄弟のひとつである京急久里浜駅を一旦通り過ぎ、品川駅から1時間と少々、終点の三崎口駅に到着した。

 1975年開業、3兄弟では最も新しい“三男”の三崎口駅は通勤電車の終点であるだけでなく、京急久里浜線の文字通りの終着駅。そこで線路はぷつりと途切れている。駅に入る手前は見晴らしのいい高架区間だが、駅は掘割のような場所に設けられている。このあたりにも入り組んだ地形の三浦半島らしさが感じられる。

三崎口駅に入る手前は特に見晴らしが良かった
“京急終着駅三男”三崎口駅に到着

さて「三崎口=マグロ」のイメージだが……

 で、三崎口駅であるが、その名を聞くと誰もが思いうかべるアレ。そう、マグロである。京急電鉄も三崎口までの乗車券と飲食店でマグロが食べられる券をセットにした“みさきまぐろきっぷ”を売っているくらい、マグロが名物の町である。いや~、これまでの終着駅の旅はなんにもないところばかりだったのに、今回はとっておきのグルメの旅になってしまいそう……。

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 ところが三崎口駅を出てみても、案に相違してそこには大きなバスロータリーがあるだけであった。釣り人らしき人の姿や観光客と思しき人の姿も見かけるが、主に地元の通勤通学客がバス待ちの列を成す。そして飲食店は……と思って見渡すと、駅そば店とセブンイレブン、あとは小さな土産物ショップがあるくらい。マグロが食べられる店なんてどこにも見当たらないのである。

駅前には大きなバスロータリーとセブンイレブンがあるが……
マグロを食べられる飲食店が見つからない