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片付けのきっかけになった鎧塚さんの言葉
元々がんの手術の前後でも、ゴルフに一緒にでかけていて、
「もうみんな大丈夫なのに騒ぎすぎなのよ」
と明るくおっしゃっていたので、私もそれを鵜呑みにしていました。
なお美さんのお葬式を含め、その後短期間に何度も鎧塚さんにお会いする機会があったのですが、その時におっしゃっていたのが、
「自宅になお美のものが残りすぎて辛い。処分するのもとても大変だ」
ということです。その時に私は、ほぼ同世代のなお美さんの死を通じて、死を初めて現実のものとして受け止め、
「確かに自分がいつ死ぬかもわからない。また、死後に自分のものがあまりにもたくさんありすぎると、遺族がその処分も大変になってしまう」
ということを初めて自分事として感じ、片付けの重要性に気づいたのです。果たして今の自宅のまま自分が死ねるかというと、とてもこの状態で人を自分の家に入れることはできない、そうであれば、とにかく片付けなければ、と強く思うようになりました。
そこに加えて、本書で書いたようなアップルウォッチによる動機付けや、お付き合いしかけた人との話などがあり、様々な複合要因に促され、とうとう重い腰を上げることができました。
生前のなお美さんを自宅にお招き出来なかったのは心残りですが、きっと、あの明るい笑顔で、
「もう、そうだったの。私がきっかけだったの。それはよかったわねーーー」
と言ってくれそうな気がします。
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